1.羽毛布団の相場について
羽毛布団の相場はおよそ4段階に分けられます。
①1万~3万円
②4万~7万円
③10万円前後
④20万円越え
それぞれの価格帯の羽毛布団の特徴について、お話させていただきます。
1-1.羽毛布団の相場①1万~3万円
この価格帯の羽毛布団ですと、「ダウンケット」といわれる夏用の羽毛布団が多いです。
羽毛は天然のエアコンとも呼ばれており、湿気を吸ってくれるので、300~500g程度でしたら、夏でも気持ちよくお使いいただけます。
もし、冬用の掛布団としてこの価格帯の羽毛布団があれば、それは赤字覚悟で販売しているか、品質に問題があるかもしれませんので、あまりおすすめできません。
1-2.羽毛布団の相場②4万~7万円
この価格帯の羽毛布団ですと、冬用のしっかりとした造りの羽毛布団が多いです。
ご自身用の羽毛布団をお探しでしたら、まずはこの価格帯のものがコスパも良くおすすめです。
ただ、最近は羽毛原料価格の高騰が激しいため、中身の羽毛量を切り詰めて販売しているお店も少なくありません。
少なくとも羽毛量は1.2kgはないと、羽毛布団を掛けていても中身が偏ってしまい、「あれ?生地しか掛かってない」ということもありえます。
ご自身用のあたたかい羽毛布団をお探しの場合には、羽毛の量(充填量)が1.2kg~1.5kgの羽毛布団がおすすめです。
1-3.羽毛布団の相場③10万円前後
ご自身用の温かい羽毛布団をお探しでしたら、この価格帯がおすすめです。
例えば生地が綿100%の羽毛布団でも、80番手や100番手の細番手の生地が使用されるので、綿生地の羽毛布団の中でも比較的軽い仕上がりになります。
中身では、ダウンパワーの大きいダックやグースの羽毛になってくるので、保温力もとても高いです。
また、グースは草食性で鳥のにおいが少ないので、羽毛布団のにおいが気になる方は、この価格帯のグースの羽毛布団がおすすめです。
1-4.羽毛布団の相場③20万円越え
20万円を超えてくる羽毛布団ですと、間違いなく高級羽毛布団です。
温かさだけではなく、軽さや快適性などを極限までお求めの方には20万円以上の羽毛布団がおすすめです。
20万円以上の価格帯になってくると、生地や中身で希少性の高い超高級素材を使用している場合が多いです。
生地ですと、綿生地の中でも超高級な240番手双糸、300番手双糸などを使用していたり、ゴアテックスの特殊加工が施されていたりします。
特に300番手双糸で織られた生地は、綿生地特有の吸湿性を有しつつ、まるで化学繊維を使用した羽毛布団のように軽い仕上がりになります。
膨らみ(ダウンパワー)がとても強いので、少ない中身でふっくらとした羽毛布団に仕上がります。また、ダウンの大きい羽毛は耐久性も高いのでお直しやリフォームで長くお使いいただけます。
2.そもそも羽毛の値段はどのように決まっているの?
まずは、羽毛(ダウン)の価格の決まり方をご紹介します。
昔はヨーロッパで1年間の羽毛の価格決めのようなものがありました。
この協議会のようなもので、その1年間いくらでダウンを販売するかが産地別で決定されていました。その当時、日本の商社がほぼ独占的に羽毛をたくさん輸入していました。
つまり、ある一流商社が日本の羽毛の取り扱いを一手に請け負っていたようです。日本に入る全ての羽毛はその一流商社を介して輸入されていたため、国内の羽毛を使う業者はその商社から買い付けを行っていました。
ところが日本に羽毛布団が普及した頃、ある布団メーカーが大きなミスをしてしまいます。
どのようなミスであったかと言うと、デパートに卸した布団のダウン比率表示にミスがあったとのことです。その結果、デパートもメーカーも大手商事も大赤字となってしまいました。
それがなんと計2回あったとのことです。羽毛が日本中に行き渡るようになってきていたのですが、この大赤字が響き、その大手商社は羽毛事業から手を引くことになりました。
大手商社がいなくなってしまったら、競争が激化すると思いきや、全うに取引ができなくなってしまい、中国などから変な(悪質な)ダウンが送られてきても返品ができないような状態になってしまいました。
そこで、台湾の業者が間に入ることになり、台湾の業者が羽毛の選別と洗浄をすることになりました。日本の羽毛業者は、台湾の洗浄業者から羽毛を買うことになりました。現在もこれは続いております。
現在では、その他の国に直接買い付けに行くパターンももちろんあります。ただしこれは現地に太いパイプがある人でないとなかなか難しいです。現地から直接買い付けるということはなかなかハードルが高いことであり、一般の業者では羽毛の直接買い取りには手を出せない状態になってしまいました。
その後、羽毛の原料の高騰が続き、年々全ての産地の羽毛の価格が上がっています。そのため、以前安く買った羽毛布団と同じ品質のものを今買うと少し高いかもしれません。
ということで、羽毛のクオリティーに納得している羽毛布団を既にお持ちの方は、「ちょっと傷んできてしまったな」と思ったら、買い替えではなくお直しが経済的でオススメです!
3.羽毛布団の相場はあってないようなもの?
結論としてちょっと乱暴いな言い方かもしれませんが、羽毛布団の相場はあってないようなものです。
羽毛の仕入れ方法、羽毛の品質、製造拠点、製造から販売までのどこを小売店で行っているか、などかなり複合的な条件により販売価格は決定されています。
大切なことは、相場を考えて購入価格を決定するのではなく、本当に良いものを見極める目を持つことだと思います。
つまり出来るだけ良いものを、出来るだけ安く買うことが一番良いことだと思います。
当店では、原料を私が選び、価格とボリュームで判断ができなかった場合、原料サンプルを購入し、実際に羽毛布団に仕立て上げ、1日置いて膨らみを職人さんたち全員で見比べて決定しています。
「良いものを」「自信を持って」「安く」ご提供していますので、是非一度どんな商品を製造・販売しているのか見てみてくださいね!