1.絶対にカビない敷布団?
こんにちは。布団マイスター櫻道太郎です。
布団のカビについては、日頃から大変多くのご質問をいただきます。
特に多いのが「カビない敷布団って、ないですか?」というご質問。
答えは、正直言って「ありません」。
残念ながら本当にないんです。
カビは家のガラス窓、壁、床、場合によっては畳などまでも侵食します。
基本的にどんなところにも生えてしまうカビ。
だから、敷布団だけカビない、なんてことは物理的にあり得ないのです。
もちろん、カビにくい敷布団や、カビ対策をほどこした敷布団はあります。
実際にカビにくいです。けれど、絶対にカビないと保証することは誰にもできません。
マイスターが住んでいる静岡県御殿場市は年間降水量が多く、湿気がとても高い地域。
駿河湾、相模湾の湿った空気が富士山にぶつかって雲や霧を発生させる、地理的な理由によるものらしいです。
特に6月から9月のほぼ4か月間は高温多湿が続き、体感的に「湿っぽさ」を感じます。
ですから、電気屋さんでは、除湿器が日本一売れる地域と言われているのだとか。
実際、その時期にはクローゼットの中にかけてある背広がカビてしまうほど、湿気が多い地域です。
梅雨の時期に、お引越しされたお客様のなかには、
ベッドのスプリングがカビてしまい、びっくりしたとおっしゃる方もいらっしゃいます。
ベッドのスプリングは鉄ですし、ベッドそのものの通気性は十分よさそうですよね、ところがあるとき、白いスプリングマットレスに、点々と黒い物体が・・・。
「まだ新しいので捨てるわけにはいかないわ。
ベッドメーカーでも、これは保証の対象外ですって。
お布団屋さんでどうにかならないものかしら」
このお客様の場合は、漂白剤でマットレス表面のカビを落としてさしあげ、全体を除菌消毒するというサービスを無料でさせていただきました。
こういったサービスでも納得されないお客様は、残念ですが、新品をご購入されるしかありません。
2.カビはなぜ発生するの?
カビは、どのような理由で発生するのでしょうか?
カビは菌類なので、生息に適した条件が整うことによって発生し、繁殖します。
その条件とは、温度、湿度、栄養。
人が暮らす家のなかは、カビにとっても好条件。
ことに、いつもじめじめしているところ、湿気がこもっているところ、風が入らない、通らないところなどは、カビが大好きな場所。
だから発生するのです。
2-1【じめじめ、湿気のある場所】
人は、一晩にコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくといわれています。
この汗とは、肌表面から流れ出る汗はもちろん、水蒸気のように体から出る湿気も含みます。
寝具の場合、掛布団に3分の1、敷布団の方に3分の2の湿気が分配されます。
たくさん汗を吸い、湿気は中に溜めないで、どんどん外に吐き出してくれる布団が理想的ですね。
一晩に人体から出る湿気の3分の1を引き受ける掛布団が、質のいい羽毛布団であれば、掛布団の湿気対策はほとんど必要ありません。
なぜなら、羽毛布団は水鳥のように優れた調湿機能を持っているからです。
問題は3分の2を引き受ける敷布団です。
湿気をどんどん吸って、どんどん吐き出す優秀な布団だったとしても、敷布団の下が、床、フローリング、畳の場合、そこに吐き出した湿気がたまってしまうのです。
敷布団を敷きっぱなしにしていれば、当然、その下が湿気ったり、ぬれたりすることにより、やはりカビてしまいます。
布団も、床材や畳もカビてしまいます。
ですから、和式の場合、万年床や敷きっぱなしは、厳禁です。
2-2【風が入らない、通らないところ】
ベッドの場合でも、御殿場市のように湿気や雨量がとても多い地域では、部屋の中が湿気でいっぱいというケースが少なくありません。
その場合、ベッドマットレスの生地やカバーさえカビてしまうことがあります。
また、木の枠の部分に巻いてある布や革さえカビてしまうことがあります。
寝具とは直接関係ありませんが、寝室のカーテンや窓枠、窓ガラス、窓の周囲の壁などもよくカビます。
特に冬、外気と部屋の中の温度差で、ガラスに結露ができ、窓ガラスがぬれたり、カーテンが湿気ったりして、両方にカビが発生することがよくあります。
布団とあわせ、寝室の環境を考えることも、カビ対策には重要です。
3.カビは健康に害をおよぼします!
カビの種類は、大きく分けて6種類くらいあります。
黒カビ、赤カビ、黄色カビ、白カビ、青カビ、緑カビ。
このうち、寝具でよく見るのは、黒カビ、赤カビ、青カビです。
特に黒カビは、喘息やアレルギーを持っている方によくありません。
まれに肺まで入ってしまい、肺の中でカビが繁殖することもあるそうです。
肌が弱い方も要注意。
カビがアレルゲン(アレルギーの元)となって、アトピー性皮膚炎を引き起こすことがあるといわれています。
ちなみに水虫も白癬菌というカビの一種だそうですよ。
4.敷布団のカビを防ぐには?
敷布団がカビに狙われやすいこと、おわかりいただけましたか?
つまり、敷布団がカビにくい環境を整えれば、ほかの寝具もカビにくいということです。
では具体的にどうすればいいのでしょうか。
4-1【部屋は換気が一番】
御殿場市のように、家の中や、部屋自体がカビてしまうようでしたら、エアコンか除湿器が一番効果的でしょう。
ちなみに、マイスターの自宅では、3台の除湿器が一年中活躍しております。
実は、今から35年前、家を新築した時の左官屋さんが地元業者ではなかったのです。
コンクリートの下塗りが、この地方特有の高い湿度に合わせた“御殿場仕様の方法"ではなかったため、一日でカビだらけになってしまいました。
塗り直しに際し、下塗りを落とすのを手伝ったのを、今も鮮明に覚えていますwww。
ワンルームのアパート、マンションや、限られたスペースの場合、扇風機やサーキュレーターをかけたり、換気扇を回したりするとよいでしょう。
天気のよい日は、窓を開け、しっかり換気をいたしましょう。
ベッドの寝室で、ベッド自体がカビてしまうような場合は、部屋自体のレイアウトや内装を見直すことをおすすめします。
4-2【敷布団はこまめな乾燥を心がけて】
寝具のカビ対策は、とにかく、乾燥第一。
吸湿、放湿機能の優秀な布団であっても、積極的に乾燥させることで、カビにくい状態が保たれます。
布団そのものを衛生的に保ち、長持ちさせるうえでも有効ですよ。
4-2-1《敷きっぱなしにしない》
万年床は避けましょう。
一晩寝た後の敷布団はコップ3分の2杯ほどの汗を吸い込んでいます。
木綿の綿は吸湿性能が高く、放湿性能もある程度優れた素材ですが、さすがにこれだけの水分を毎日、保ったまま敷きっぱなしにされると、湿気がたまり、その下、つまり床に放湿するしかないので、カビやすい状態になってしまいます。
羊毛など動物性繊維は、木綿の2倍吸湿し、湿気を発散する能力も2倍ありますので、綿やポリエステルなどの化学繊維よりもカビにくいですが、通気性がないと、木綿と同じ状態になります。
ポリエステル、ウレタンなどの化学繊維の綿の場合、湿気をほとんど吸ってくれません。
そのため、体から出た湿気は、布団そのものにはこもりにくいものの、シーツや床に溜まることになるため、カビが発生する確率が上がります。
4-2-2《干す》
木綿、羊毛、ポリエステル、ウレタン等、通常の敷布団は、干すのが一番のお手入れとお考えください。
木綿わたの敷布団や、ポリエステルなどの化繊綿の敷布団の場合、週に2、3回を目安に、片面40分以上、両面合計で1時間から2時間程度、日光にあてましょう。
羊毛綿の敷布団やウレタン敷布団の場合、週1度、2時間程度、直射日光に当てずに、風通しのよい日影で干すのがよいでしょう。
木綿の布団は、干した後、ふっくらふくらんで、お日様の香りが気持ちいいですよね。
最近は体にも心にもやさしい天然素材として、あらためて見直されています。
ちなみに木綿は、赤道付近など日差しが強い地域でたくさん採取されます。
世界的には、インドや、エジプト、メキシコ、アメリカ南部、中国などが産地として有名です。
水分をたくさん吸い、栽培された地域と同じような直射日光で復元するのが特徴です。
近年、日本の風土に合った日本在来種の木綿を国内で復活させようと、栽培する活動をしている人々も出てきました。
羊毛は、草原のイメージです。
風が草原をなびかせ、大きな木陰で羊たちがゆっくり休んでいる様子を思い描いてみましょう。
強い日差しは必要ありませんね。
干しても木綿の綿のように空気を含んでふくらむことはありません。
敷布団をTシャツとセーターにたとえると、木綿わたの敷布団は木綿のTシャツ。
日に干さないとなかなか乾きませんが、日に当てて干した後はふんわり快適!
一方、羊毛布団はセーター。
風を通すと早く乾きます。
保温性に優れている点も共通していますし、吸湿すると発熱する、天然の「ヒートテック」といっても過言ではありません。
4-2-3《ふとん乾燥機で乾燥》
日に当てて干す時間を確保できない、干せる環境ではない、干してくれる人がいない、という場合には、布団乾燥機を使いましょう。
寝る1時間前に、20分から40分程度、布団乾燥機をかれば、湿気がかなり取れ、心地よく眠れます。
さまざまなご事情で、和式の布団を敷いている時間が長い場合、乾燥機に頼りすぎるのでなく、せめて寝具の場所を毎日少し移動するようにしてください。
4-2-4《ホットカーペットでも乾燥できる》
ふとん乾燥機を使うのが苦手な方は、ホットカーペットの上に敷布団が載るように布団をセットしてみてください。
カビ対策には有効です。
ただしこの場合、眠るときは必ず電源を抜いて、火事や健康管理に十分気を付けてご使用ください。
また夏場は、布団も部屋の温度も上昇するため、この方法は向きません。
4-2-5《湿気取り用の調湿パット》
市販されている布団の湿気取り専用の調湿パットを使う手もあります。
一般的な湿気取りパットは、湿気を色で判断するものがほとんど。
使用後、湿気取り自体を天日干しして、元の色に戻す必要があります。
また、湿気を吸うと、想像以上に重たくなるので、マイスターとしてはあまりおすすめできません。
5.大変!敷布団にカビが生えてしまったら?
お布団の丸洗い、クリーニングをおすすめします。
ただしカビの種類により、対応が異なることを知っておくといいでしょう。
たとえば、黒カビの菌は繊維の奥の方まで染み込むため、洗っても落ちない場合があります。
また乾燥時に、熱が集中してしまい、お布団自体に穴が開いてしまうこともあります。
専門家は各カビへの対処ノウハウを持っています。
もしカビが生えていることに気づいたら、できる限り早めに丸洗いやクリーニングに出しましょう。
取り次ぎ店より、専門家が対応してくれる店舗の窓口にご相談になることをおすすめします。
6.クリーニングでもダメな場合
洗っても、クリーニングに出しても、ダメな場合、木綿わたの敷布団は打ち直しをおすすめします。
マイスターの店をはじめとするプロの布団屋さんにお直しを依頼すると、中身を見て、生地の交換や、中身の打ち直し・交換などを状況に応じて判断し、適切なお直しをしてくれます。
羊毛布団、化繊綿の布団は、お直しができるもの、できないものがありますので、やはりまずはプロに相談するのがいいでしょう。
櫻道ふとん店のカビ対策敷布団
これまでお話してきたように、カビない敷布団はありません。
しかし、今までの敷布団より圧倒的にカビが生えにくい敷布団もあります。
櫻道ふとん店が開発し、製造も櫻道ふとん店が独自におこなっているオリジナル商品「腰いい寝Comfort」「快眠の王Comfort」です。
御殿場市の新築マンションで、寝室の換気が悪いお部屋にお住いになられたお客様から
「ベッドがカビて困っている」
というご連絡を受け、お部屋を見せていただいたときのこと。
ベッドの裏表に生えている黒カビを、次亜塩素酸ナトリウムを使って除去、除菌しました。
しかし、部屋全体を見回したところ、
ベッドの下、壁、クローゼットのドアの取っ手、ゴミ箱に設置してあるビニール袋までうっすらカビているのが見えました。
お客様も、お部屋の状況を承知しておられ、「クローゼットの中の洋服までよ〜」と、嘆いておられました。
その中で、引っ越し時にお買い求めいただいた櫻道ふとん店の「腰いい寝Comfort」「快眠の王Comfort」だけはカビていなかったのです!
「だから、カビのことなのに、櫻道さんに相談したのよ」とおっしゃっていました。
こうしたエピソードが多数あるため、湿度の高い御殿場市のお客様に、自信を持っておすすめできるのです。
また「ムレない敷マット」という優れもの敷マットもあります。
素材の樹脂をタテ列に並べ、へたりにくくするのと同時に、カビの原因となる湿気を素早く排気するよう工夫を凝らして開発したもの。
実際に、マイスターの家で「ムレない敷マット」を、我が家の育ち盛りの息子と娘達が使ってみました。
娘たちは市販の二段ベッド。
息子は、ロフト風ベッド。
特に息子は成長期で、サッカー、卓球と、昼間しっかり活動しておりましたので、汗も半端なかったです。
「ムレない敷マット」を敷き、その上に「腰いい寝」や「快眠の王」を敷き、シーツを広げて使用。
お手入れは、一ヶ月に1回程度の部屋干しでしたが、カビが生えることはありませんでした。
とはいえ過信は禁物です。
お部屋は必ず換気してくださいね。
また、万年床は、なんとしてもお避け下さい。
※2022年7月 ムレない敷マットは原料終了のため廃盤となります