1.夏に涼しい敷布団の素材
夏に涼しい素材の代表は
①麻
②樹脂「エアウィーヴ」「ムレない敷マット」
③接触冷感繊維
です。
これらを敷布団や敷パットにすると、どうなるでしょうか。それぞれについて説明します。
1-1【涼しい敷布団の素材<麻>】
「日本の夏は麻」といえるくらい、麻は昔から日本人の生活に欠かせない素材でした。
麻は汗を吸うと、周りから熱を奪って自分を乾かそうとします(気化熱を奪う)。
ですから、涼しい繊維なのです。
麻の種類は20ほどありますが、主にロープやひもなどに使われています。
昔は、神社の注連縄(しめなわ)も麻でした。
「麻」は「朝」と一緒で、魔よけの役割を持っているといわれます。
なので、魔よけの意味をこめて、麻で衣装をつくったり、麻の葉の柄(麻の葉文様)を染めたりして使用してきました。
昔は、赤ちゃんが生まれたときに、麻の葉柄の布団を魔よけとして使う地方もたくさんありました。
産着や肌着に麻の葉柄が多いのも、その名残りです。
寝具用としては、リネン(亜麻)とラミー(苧麻)の糸を織って布にしたものを使います。
麻の繊維は天然繊維のなかで一番強く、湿気を吸うともっと強くなります。
湿気を吸ってもジメジメベトベトがなく、いつもサラサラで、肌に涼しく感じます。
現在の日本では、法律で麻の栽培を禁じられています。
ですから日本産の麻製品はありません。
戦前はもっと身近でしたが、仕方がありませんね。
ちなみに、七味唐辛子のなかには麻の種が入っています。
また、病院の麻酔薬も「麻」薬です。
いずれも現在は国産の原料ではありません。
麻の布は大変高価です。
敷布団にするのには少し無理がありますが、敷パットなら販売しています。
夏に、今お持ちの敷布団の上に麻の敷パットを敷いて使ってみてください。
敷布団にそのまま寝るより涼しいと思います。
また、ほかの素材と比べると、麻のほうが「涼しい」と感じると思いますよ。
私ももう長いこと、夏といえば、麻素材の敷パットを敷布団の上に敷いて愛用しています。
1-2【涼しい敷布団の素材<樹脂「エアウィーヴ」「ムレない敷マット」>】
樹脂の繊維は汗を吸いません。
ただ、ヘチマのような構造なので、通気性がとても高く、保温力が低いという特徴があります。
そのため、樹脂の繊維の敷布団は、夏は涼しいです。
櫻道ふとん店には、敷布団ではありませんが、樹脂繊維を使った、お得な「ムレない敷マット」があります。
樹脂製敷布団の代表「エアウィーヴ」は中がラーメンのような構造で繊維が太いのですが、「ムレない敷マット」は繊維を細くして軽量にしてあります。
また、たくさんの繊維を縦方向にだけ編んであるので、つぶれにくい特徴があります。
こちらも通気性がとても高いので、夏涼しいです。
櫻道ふとん店では、「ムレない敷マット」を敷布団の「下」に使って、湿気防止することをおすすめしています。
夏は敷パットのように敷布団の「上」に敷けば、ムレ感も減り、敷布団もベトベトしません。
「ムレない敷マット」自体がサラッとしていますので、夏涼しい素材になります。
※2022年7月 ムレない敷マットは原料終了のため廃盤となりました。
1-3【敷布団のウレタン<無膜(ムマク)ウレタン>】
「クール〇〇」「〇〇クール」など、いろいろな会社で下着やシャツに使用している素材です。
麻繊維のように、気化熱を利用して周りの熱を奪い取る、涼しい機能があります。
レーヨンやキュプラを使って接触冷感をつくります。
レーヨンやキュプラの原料は天然繊維です。
綿花は種の周りに花のように白い糸のかたまりがついています。
この部分を取り出したものが、木綿わたになります。
そして種は捨てるのですが、この種の周りに綿花の糸が少し残っています。
(私は、虎刈りにされた子供の頃の私の頭を思い出します)。
この短い繊維を、酸性やアルカリ性の水溶液に溶かして、再び糸にします。
これが、レーヨンやキュプラの製造方法の1例です。
天然繊維が原料でも、化学的に取り出すので、化学繊維となります。
元は天然繊維ですから、湿気も吸います。
また、化学繊維でもあるので、麻のように周りの熱を奪う涼しい繊維の「接触冷感」をつくることもできます。
「涼しい」とは反対に、汗を吸って熱を出す吸湿発熱繊維「ヒート繊維」もつくれます。
接触冷感繊維もヒート繊維も、その繊維の割合が多いと高価になり、割合が低いと安価になります。
ただ、接触冷感繊維も綿として敷布団をつくるのではなく、涼しい繊維で織った布を敷パットの生地に使って、夏専用にするほうが効率的で涼しいです。
2.敷布団の涼しい構造と涼しい機能
先ほど紹介した3つの敷布団の涼しい素材について、その構造と機能について考えてみます。
2-1【敷布団の涼しい繊維<麻>】
麻は繊維を糸にし、織った布を寝具に使います。
麻は敷布団よりも敷パットとして使うのがよく、梅雨時から夏にかけてだけ使用するのが理想的です。
麻は気化熱を奪うため、繊維が水分を吸い取ると、湿気を吐き出そうと周りから熱を奪い取るため、涼しいと感じます。
このときに風が通ると、もっと涼しいと感じます。
平面の麻の敷パットと、凸凹加工をした敷パット、どちらが涼しいでしょうか?
凸凹加工をした敷パットのほうが表面積が広く、風(空気の動き)を少しでもつくれるので、涼しさの機能は上です。
2-2【敷布団の涼しい繊維<樹脂>】
樹脂製敷布団「エアウィーヴ」などは、繊維と繊維の間がとても広く、通気性がとても高い、涼しい繊維です。
夏に窓を開けて風が入ってくると、敷布団の中の湿気もさらっていきます。
「ムレない敷マット」は厚みが5mm程度のため、「エアウィーヴ」のようにはなりませんが、敷布団の上にのせると、敷布団の側(がわ)生地と肌が接触することはありません。
ですから、樹脂で作った「ムレない敷マット」は敷布団からのムレ感や熱が伝わりにくくなり、涼しいと感じます。
また、夏でも敷布団には保温力があったほうが夏ばてしないので、涼しいだけの敷布団よりおすすめです。
※2022年7月 ムレない敷マットは原料終了のため廃盤となりました。
2-3【敷布団の涼しい繊維<接触冷感繊維>】
天然繊維を酸性やアルカリ性の液につけて化学的に取り出すため、化学繊維の分類です。
しかし、天然繊維の汗を吸う力は持ったままです。
レーヨンは「扁平レーヨン」といって、湿気を吸って熱を発散するウールのような構造や、湿気を吸って周りから熱を奪う麻のような構造など、構造を変えたつくり分けにより、いくつかの機能をコントロ-ルできます。
周りの熱を奪う構造にしたものが「接触冷感繊維」です。
3.夏に敷布団をより涼しいと感じる使い方
敷布団の涼しい機能を活かし、より涼しいと感じる使い方をお伝えしましょう。
夏の日差しはとても強く、昼間日が当たるところは容赦なく温度を上げます。
敷布団も同じです。
いくら涼しい繊維の敷布団でも、太陽のちからにはかないません。
涼しいと感じる敷布団の使い方のコツは、敷布団を日陰の風通しのよいところに置いておくこと。
これだけで、夜、寝る際に敷布団がかなり涼しいと感じます。
押し入れやクローゼットに収納する場合は、その内部の温度が上昇しないよう、部屋の風通しをよくしておく、昼間、部屋に日差しが入らないようにしておくなどの対策をとりましょう。
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