1.汗の敷布団への影響は?
人はひと晩にコップ1杯分の汗をかきます。
汗といっても、流れ出る汗だけでなく、皮膚呼吸によってスチーム状に出る量もたくさんありますので、コップ1杯のスチームといってもいいかもしれません。
この汗、湿気の3分の1を掛布団が、3分の2を敷布団が引き受けます。
そうなんです。敷布団にしみこんでいく量のほうが多いのです。
しかも、内臓がたくさん詰まっている腰の部分から一番出ますので、腰を中心に楕円形で湿気が出ます。
汗をそのままにすると、気持ち悪いですよね。
また、からだにも悪影響が出てしまいますので、汗対策はしっかりしましょう。
汗の敷布団への影響はおもに3つあります。
①におい・シミ
②カビ
③不眠・冷え(保温力低下)
それぞれについて少し詳しく見ていきましょう。
1-1【汗の敷布団への影響<におい・シミ>】
人の汗や湿気に含まれるのは、水分と塩分だけではありません。
からだの老廃物(尿素)、ホルモン、それからなんと重金属。
汗はおしっことよく似ている成分が大部分を占めます。
また、夜は成長ホルモンが出て、からだの修復がおこなわれます。
さらに男性ホルモンや女性ホルモンなど、たくさんの種類のホルモンも出ます。
これらのホルモンも汗や息、皮膚からの呼吸によって、湿気のなかに混ざってからだの外に出ていきます。
このなかの男性ホルモンと空気中の微生物が合体し、茶色い物質に代表されるくさい物質に変化します。尿素と茶色くてくさい物質が混ざるのです
成長期の男の子の部屋は汗と男性ホルモンでいっぱいなので、女性が入るととてもくさく感じます。
あれにはこういった理由があったのです。
お父さんの枕や、ワイシャツはすぐに茶色になりますが、奥様のブラウスはきれいなままですよね。
シャツも枕も同じ理由なのです。
ことに夏の汗のなかには重金属が含まれることが多いのですが、それは、寝ている間にもデトックスをしているため。
腎臓や肝臓が、からだに不要なものを排出してくれますが、細胞の中に入り込んでしまった重金属はなかなか出ていきません。
日本の夏は、遠赤外線がからだに入り、じわ~っと汗が出てきます。
3時間以上の遠赤外線を浴びると、汗のなかに重金属がたくさん出やすくなります。
腎臓や肝臓を使わずに、汗腺がその役目を果たしてくれます。
からだが楽に毒素を排出してくれるのです。
ヨーロッパのサウナは、ここまで夏が熱くならないために生まれた知恵です。
日本では、クーラーを上手に使いながら、意図的にデトックスできる環境が自然にあるのです。
ただし、布団は汚れます。
1-2【汗の敷布団への影響<カビ>】
敷布団につくカビは、黒カビが一番目につきます。
この黒カビは、アレルギー、喘息を引き起こすからだによくないカビです。
カビが生える原因は、湿気と温度と栄養です。
敷布団は湿気と温度が、カビが生えるのにぴったりです。
そのうえ汗や皮脂汚れが栄養となりカビが生える条件がそろっています。
カビはどんな素材にも生えてしまいますが、湿気さえなければ生えません。
敷布団も湿気対策が一番です。
ので要注意です。
1-3【汗の敷布団への影響<不眠・冷え(保温力低下)>】
敷布団に湿気がたまると、冷えの原因となり、また、敷布団自体の保温力も低下します。
からだが冷えると、免疫が低下し、たくさんの種類の病気の原因となります。
さらに、湿気自体も眠りを妨げます。
人がリラックスして眠れる状態は、からだのまわりの湿気が55~60%です。
それ以上は、ジメジメ感があり不眠になります。
逆に、乾燥していても、のどが乾きやすくなり、こちらも不眠の原因となります。
2.寝汗を吸える敷布団の素材について
ポリエステル、樹脂を代表とする化学繊維だけでつくられている敷布団は、繊維が汗を吸いません。
寝汗をかいたとき、繊維が湿気をほとんど吸わないため、不快感があります。
素材を覆う側生地などを工夫しないと、接触しているところが、気になります。
風邪の発熱などで寝汗をかいたとき、ポリエステルの毛布を掛けて寝たことがありますか?
熱を下げようと寝汗をかくのですが、毛布がビチョビチョになってしまい、交換しないと、とてもじゃないけど眠れません。
敷布団がポリエステル製で汗を吸わないうえに、毛布まで汗を吸わないのでは、本来、回復に向かうための睡眠を十分にとれなくなってしまいます。
ですから、せめてシーツや毛布など肌に触れる部分は、寝汗をしっかりと吸う素材にしたいものです。
3.汗を処理できない敷布団は体温を下げる
汗や湿気を吸わない敷布団を使いつづけると、体温が下がります。
体温が下がると病気を呼んでしまいます。
体温の適温をご存知ですか?
個人差はあるものの、一般的には36.5℃です。36℃以下は低体温になります。
敷布団の汗をしっかり処理しないと、体温が低下します。
0.5℃体温が低下すると、免疫力が35%も低下します。
そして、からだの動きも低下します。
熱は筋肉がつくるのですが、体内温度が39℃になると、筋肉のパフォーマンスが一番よい状態になります。
スポーツをするアスリートの方々が、ウォーミングアップで、ジョギングをしたりして、軽く汗が出ている状態をつくりますよね。
あのじわ~と汗が出ている状態が、体内温度39℃なのです。
このとき、筋肉が一番動くということですので、よい記録をつくるため、ウォーミングアップをするのです。
反対に体温低下は筋肉だけではなく、なんと、やる気もなくなるので、体温をあげる眠りにしましょう。
4.敷布団の汗対策
汗対策は
①干す
②汗取りパット・除湿シート
③洗う
があります。
それぞれについて考えてみます。
4-1【敷布団の汗対策<干す>】
とにかく一番よいのは、干すことです。
木綿やポリエステル場合、片面30~40分ずつ天日干しをすると、お日様のにおいがついてとても気持ちいいですよ。
木綿やポリエステルが吸った水分は天日干しで蒸発しますが、日陰ではなかなか復元しませんので、お日様に当てるようにしましょう。
羊毛敷布団の場合は、風通しのよいところで干せば十分です。
天日に当ててもよいのですが、風さえ当てれば十分乾燥します。
ウレタンや樹脂の場合も、風通しのよいところで干せば十分です。
もちろん、天日干しも大丈夫です。
また、布団乾燥機があれば、上手に使いましょう。
冬の場合は寝る前に布団乾燥機を付けて、布団をあたためてから眠ると、気持ちよく眠れます。夏の場合は、起きたときにかけましょう。
タイマーが付いていますが、火災に十分注意して、乾燥後は必ずコンセントを抜きましょう。
※樹脂(「エアウィーヴ」)は熱に弱いので布団乾燥機の使用が禁止になっています。
4-2【敷布団の汗対策<汗取りパット・除湿シート>】
2番目のオススメは、汗取りパットです。
タオル生地、麻、綿、ガーゼ、しじら、毛布タッチ、発熱タイプ、吸熱タイプなど、たくさんの種類が出ています。
この汗取りパットを上手に使い、頻繁にじゃぶじゃぶ洗い、敷布団に汗がしみこむのを防ぎましょう。
春秋のオススメはタオル生地の敷パットです。
タオル生地は綿100%で、起毛されているので汗をしっかり吸い、水分を吸い取る量が多いのです。
夏のオススメは麻です。麻は吸湿吸熱に優れた素材です。
汗を吸うと、周りの熱を奪い取り、自分が乾燥しようとします。
(気化熱といいます)
その結果、いつもさらさらで、涼しいということになります。
日本人は昔から夏には麻を使用してました。生活の知恵です。
冬は毛布タッチのあたたかいものがよいです。
ポリエステル素材のものとアクリル素材のものがあります。
ポリエステルの汗を吸う力が1だとすると、アクリルはその8倍汗を吸い取ります。
少し高価で、8,000円程度しますが、汗かきさんや冷え症の人にはアクリルのほうがおすすめです。
《汗っかきさんにおすすめ!》「汗に強く蒸れにくい敷布団の使い方」
汗に強く、蒸れにくい敷布団の代表は、樹脂(「エアウィーヴ」)です。
もっともこれは汗を吸い取らず、通気性だけが高く、保温力がないことを意味しますから、肌に直接触れるのはおすすめできません。
予算に関係なく贅沢な使い方をするなら、床のすぐ上に樹脂その上に櫻道ふとん店の「腰いい寝」「快眠の王」を重ねて使うと、湿気と汗に強い敷布団になり、結露も起きにくくなります。
4-3【敷布団の汗対策<洗う>】
ポリエステル100%や樹脂は、洗えるように設計されておいますので、洗える環境のあるご家庭では洗いましょう。
ただ、洗えるといっても結構大変ですよ。
ポリエステルの敷布団はコインランドリーで手軽に洗えます。
ただし、キルトといって、しっかり縫ってある敷布団でないと、洗濯中に中身が寄ってしまいます。
縫っていない敷布団の場合、くるくると丸めて3か所程度ひもで縛ってから洗うとかたよりません。
樹脂製布団の自宅洗いは、カバーを外し、シャワーをさ―っと掛けて、立てかけるのですが、お風呂場か外で洗うしかありません。
洗濯・乾燥後、カバーに入れるのも角が硬く少し大変かもしれません。
4-3-1《敷布団の洗濯方法》
ポリエステルや樹脂は「自宅で洗える敷布団」といって販売していますが、洗うのは実際にはとても大変な作業です。
本当に頻繁に洗濯しなくてはならない家庭の方はコインランドリーで洗いましょう。
そのほかの方はクリーニング店に出すことをおすすめします。
毎日、押入れに布団をしまう人は、起きた後、1時間ぐらい経って、布団が湿気を放出してからしまうようにしましょう。
起きてすぐにしまうと、寝ている間に布団が吸い込んだ湿気が、押入れにこもってしまいます。
私もそうですが、めんどくさいことはなるべく避けたいので、横着をします。
押し入れや、クローゼットに収納を先にしてしまった場合、扉をしばらく開けておいて、時間がたってから閉めるようにすれば、大丈夫ですね。
4-4【「不感蒸泄結露」と汗以外の「不感蒸泄」の敷布団への対策】
フローリングの上の敷布団の下が湿っている状態を「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)結露」といいます。
フローリングの上に敷布団を敷くと、冬や梅雨時に床が湿気っている時があります。
これは人体から汗以外にスチーム状に湿気が排出されているからです。
これを「不感蒸泄」といいます。
その結果、床が冷たいと結露が起きます。
この場合は敷布団の下にカーペットを敷いたり、バスタオルを敷いたりすると、結露の防止と、湿気対策ができます。
薄いマットレスや、いらない毛布も有効です。