1.羽毛布団のお洗濯、コインランドリーでは洗わないでください。
コインランドリーのお店の前を通ると「羽毛布団洗えます」なんて書いてあると、コインランドリーで羽毛布団が洗えるなら、今度洗ってみようかななんて思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、ちょっと待って、コインランドリーで洗うのは危険です。
当店に「コインランドリーで洗ったらこんなになってしまって......直せますか?」と、羽毛ががっちり固まり、片寄ってしまった羽毛布団をお持ちになるお客様やお電話でのお問い合わせをいただくことは実は結構多いのです。
残念ながらどんな高価だった羽毛布団でも、一度ガチガチに固まって、片寄ってしまった羽毛は直せません。
確かに「羽毛布団洗えます」と書いてありますが、コインランドリーで使っている洗剤と、クリーニング店で使える洗剤の種類が違うため、洗うと中身が固まってしまう可能性があるのでご注意を。
気になる方はおふとん屋さんにご相談されることをおすすめします。
また、なぜそうなるかの詳しいお話はを以下でしていきます。
1-1.羽毛を洗う洗剤のお話し。
羽毛布団をなぜコインランドリーで洗ってはいけないか。洗濯洗剤のお話から入ります。
1-1-1.【洗濯洗剤の種類】
家庭用洗剤のテレビCMで、「抗菌○○部屋干し臭がない」とか「頑固な汚れに○○」なんて放映していますよね。「部屋干しの臭いも、頑固な汚れも大丈夫」っていう洗剤が発売されないのはなぜでしょうか?
じつは、洗剤は大きく二つに分類されます。 汚れを落とすのが得意なマイナスイオン洗剤と、菌を抑えるのが得意なプラスイオン洗剤の二種類に分かれるのです。この両方を取ろうと一緒に混ぜて洗うと、汚れも落ちない、臭いも落ちないという結果になってしまいます。
1-1-2.【水鳥には水をはじく機能を落としてしまうマイナスイオン洗剤。 】
羽毛布団に使われている羽毛は水鳥の羽毛です。 水鳥の羽根にはニワトリなどの陸鳥にはない水をはじく機能があります。水鳥の羽毛を水の上に投げると浮きますが、ニワトリの羽根は、しばらくすると沈んでしまいます。
この水をはじく機能は、水鳥羽毛の一つ一つに天然のアミノ酸(脂です)によるものです。
この水をはじく機能があるため湿気を吸ってもヘタらない、バルキー性と呼ばれるかさ高を維持するチカラが生まれ、羽毛布団の軽くてあたたかい力をずーっと発揮できる要因なのです。
この天然のアミノ酸は、人間の皮脂と同じ分子構造になっているようで、マイナスイオン洗剤で洗うと、汚れと同じようにきっちりと落ちます。
襟元の汚れもきれいに落ちますが、羽毛布団の高級品の証であるバルキー性まで落ちてしまい、羽毛のしっとりした感覚が失われて、ギシギシした羽毛になり、最終的にはは中でお互いが絡み合い、側生地の中で固まって片寄ってしまう原因になります。
1-1-3.【プロはの羽毛を〇〇〇〇で洗っています。】
新品の羽毛はどのように処理しているのでしょうか?
鳥から羽毛をいただいたあと、洗浄の工程が必ず入りますが、この時に使う洗剤は、両面活性剤と呼ばれるプラスマイナス洗剤です。
始めからプラスとマイナスを入れてある洗剤を使うと両方の力が使えます。但し、汚れもそこそこ、殺菌や柔軟性を上げるの力もそこそこという洗剤なので、キレイな水で何回も洗うことになります。
この洗剤は家庭用洗剤としては販売されておりません。昔からこのことを知っているクリーニング店の店主やおふとん屋さんは、キレイに仕上げてくれとういうわけです。
コインランドリーでは、汚れを落とすマイナス洗剤ががっちり使われるので、何回か洗うと高級羽毛がギシギシ、カチカチ羽毛になってしまいますのでお気を付けください。
2.羽毛布団はどのぐらいの間隔でお洗濯したらいいの?
羽毛布団を洗う間隔ですが、基本的にはご購入後、女性の場合5年程度、男性の場合3年程度で良いです。
男性と女性が違うのは「汚れの原因」のところで詳しく説明いたします。
アレルギーなど症状をお持ちの方の羽毛布団は、毎年洗った方がよいでしょう。また、成長著しい高校生男子の使う羽毛布団も毎年洗った方がいいですね。
洗うのに適した季節ですが、羽毛布団を使わなくなる春や、夏。先に洗ってからしまう派の人と、そのまましまっておいて、使う前に洗う派の二つに分かれます。どちらが正解というわけでもないので、気持ち良い方でいいと思います。
3.羽毛布団の茶色い汚れの原因は?
「おとうさんの枕は臭い」って言われたことがありますか?また、そのように思っていませんか?何故でしょう?羽毛布団も、「お父さんの羽毛だけ襟のところが汚いのよね~。」ってことも・・・。
その原因は男性ホルモンにあります。男性ホルモンが付着するとそれを食べに茶色い色の雑菌が繁殖します。この茶色い物質が、ベトベトで臭いにおいの原因です。もう少し詳しく説明します。
人は、一晩にコップ一杯の汗をかくと言われています。この、汗と呼ばれる中には、男性ホルモンや女性ホルモンなどが入っています。また、自分の吐く息の中にも入っています。
睡眠中に、コップ一杯。ということですが、実はそのほとんどが汗ではなく、皮膚呼吸の水蒸気として、身体の外に出ます。
「羽毛布団の中身のダウンは呼吸をしている。」という表現の方が似合っているくらい湿気のある空気を吸うと熱を出し温度調整と湿度調整をする天然のエアコンです。しかしその反面、人が出すホルモン入りの水蒸気をよく吸うことになります。
このようにして羽毛にしみついた男性ホルモンは、ベトベトの原因でもあるため羽毛のふくらみも減っていきます。従って、お母さんの羽毛布団とお父さんの羽毛布団では10年も経つとふくらみが変わり、お父さんの方が先にヘタってしまいます。
この男性ホルモンを除去すると、羽毛布団が長持ちするわけですが、除去の方法は、洗うしかありません。目安は男性の場合3年、女性の場合5年程度が目安となります。
ちなみに、10年ほど何もお手入れしない羽毛布団を洗ったときは驚くほど茶色い水がすすぎ水で出てきます。
4.羽毛布団の緊急時のお手入れは?
赤ちゃんがミルクを戻したり、ペットが”おそそう”してしまったり。緊急時のやむをえない事情の時に羽毛布団はどのようにクリーニング・お手入れをしたらよいのでしょうか?
どちらも基本的には同じです。
1.汚れの原因のものが固形・液体の状態で羽毛布団の上に乗っていれば、ティッシュなどで包んで取り除きます。
2.大体のものが取れたら、洗面器に水を入れ、ポットから熱湯を注ぎ、熱い蒸しタオルよりも水分を含んだタオルを用意します。羽毛布団の生地がべちょべちょになっても大丈夫なので、生地をつまみ洗いします。汚れが落ちるまで何回か行います。
3.次に乾いたタオルでふき取ります。まだまだがっちり濡れている状態です。
4.次にドライヤーを用意し、乾いたタオルをもう一枚用意し、外回りを放射線状に外に向けて履くようにこすります。(乾いた後の輪どりがなくなります)
側生地が乾燥するまで根気良く乾かします。
ほんの少しの汚れの場合、蒸しタオルでつまみ洗いをし、乾いたタオルでつまみながら乾かします。
どちらの場合も、応急処置のため、本当にきれいにしたい場合は、クリーニング店などにお出しください。 最近では、洗える羽毛なんて品物が販売されています。ほとんどが肌掛けの安いものですが、前述のアミノ酸の処理をどのようにしたら洗えるようになるのかが私にはまだ理解できません。
自宅で洗える羽毛布団は、保温力や羽毛本来の機能が何回洗ったらだめになるのかが示されていませんので、気を付けてご購入ください。
5.お洗濯が終わった後の羽毛布団の収納方法は?
クリーニングやお洗濯から帰ってきた羽毛布団は、丁寧なお店では羽毛の水分率を計測してから仕上げのビニール袋に入れます。羽毛布団は呼吸しているため、水分率を極端に下げて乾燥しすぎても良くないのためです。
したがってクリーニングやお洗濯から帰ってきた羽毛布団を入れたビニール袋の中には水分が入っているということになり、内側で汗をかく場合があります。羽毛布団をクリーニングか帰ってきた状態のままビニール袋に入れて、寒暖の差や日中、日が当たり、夜冷たい場所などに置いておくとカビの原因になります。
クリーニングやお洗濯から帰ってきた羽毛布団は、ビニールから取り出し、ご購入時の不織布でできている通気性のよい袋に入れ戻し収納してください。ご購入時の袋が無くなってしまっている方や、破れてしまっている方はお近くのふとん屋さんで販売しております。また、風呂敷でも大丈夫です。出来ればその袋の中に「防虫剤」を一緒に入れておくとなおよいです。
夏の蒸し蒸しした日に、家の明かりめがけて細かい虫が飛んできます。その中にカツオブシ虫という虫がいます。この虫は、ウール・シルクそして羽毛などの動物性たんぱくが大好きです。カツオブシ虫が家の中に入ると背広やセーター・着物の生地を食べるため、穴が開いてしまいます。
カツオブシ虫が羽毛布団の中に入るときもありますので、防虫剤を入れておいた方が羽毛が長持ちします。穴が開いたところから羽毛が飛び出してきますので要注意。
6.毎日の羽毛布団のお手入れ方法は?
羽毛布団の中身の羽毛は天然のエアコンと呼ばれるくらいの吸湿発散性能があります。汗を吸って自分で乾かす力がとてもあるので、木綿ふとんのように天日干しの必要があまりありません。ベッドの場合と和式の場合でほんの少し日頃のお手入れ方法が違うためお伝えいたします。
6-1.ベッドで使っている羽毛布団は週に一度の空気の入れ替えをしよう!
ベッドの場合、一週間に一度程度羽毛布団の中の空気の入れ替えをいたしましょう。前述のとおり、一晩使うと私たち人間の男性ホルモンや女性ホルモンなどの臭気をため込むことになります。
この汚れた空気を吐き出し、新しい空気を入れるのです。方法はとても簡単です。
朝起きたときに羽毛布団をコンパクトにたたみ、丁寧に押しつぶし、広げるだけです。
※この押しつぶすときに注意点があります。羽毛がねじれるようにギュウーっとしたりすると、羽毛が戻りにくくなります。羽毛(ダウン)は”ねじれ”に弱いため、ヘタリの原因となります。
6-1.羽毛布団を毎日収納する場合は、収納の順番を工夫して自然に空気の入れ替え!
フローリングや畳で毎日収納する方は基本的に何もする必要がありませんが、収納方法に順番があります。収納時に羽毛布団をキレイにたたみ、その上に敷布団マットレスを乗せるのです。すると、よどんだ空気は敷布団マットレスに押され、吐き出されます。
夜寝るときには、敷布団マットレスを敷き、羽毛布団をその上に載せるときには新しい空気を含みますので、何にもしなくていいのです。
6-3.どうしても羽毛布団を干したい方に守ってほしい二つのこと。
いくら羽毛布団は干さなくても大丈夫といわれても、天日で干した方がなんとなく気持ちがいいので、羽毛布団を干したい方も実はたくさんおられます。羽毛布団を干すときにの注意点が少しだけあります。
1.羽毛布団を干すときはカバーを付けたまま
2.天日干しなら5分から10分程度
の二点をお守りください。
前述のとおり、羽毛はあまり乾燥させる必要がないので、直射日光を避けるためカバーを付けたままの方が良いのです。
また、かぎ裂きを避けるためにもカバーをしたままの方が良いでしょう。
そして、羽毛は天然のエアコンなので、風が入り空気の入れ替えができれば充分大丈夫。もう一つの理由は直射日光の殺菌力の強さです。
直射日光には、遠赤外線と紫外線。そのほかにガンマ線などの放射線も入っています。こちらの放射線が、生地等に当たるとオゾンが発生し、90秒で殺菌が完了します。この時の香りが「お日様のにおい」ということになります。
木綿ふとんの場合、中芯までしっかり乾燥することが必要な為、片面40分以上両面で90分程度になります。また、木綿ふとんの場合はダニも気になりますが、羽毛布団の場合は、ダニが入ることができない高密度布を使用して羽毛布団が作られているため、ダニの心配がありません。そのため、表面の殺菌をしっかりすることだけで日頃のお手入れは完了となります。
冬が過ぎ、夏用の布団に変更すると、収納して仕舞っておく人が多いと思います。この時の収納方法をお伝えします。前述でも述べましたが、ご購入時に入っていた袋に入れ戻す方法が一番いいでしょう。また、その時に防虫剤を一緒にいれておきましょう。
7.羽毛布団のお直しや修理はどこに出せばいいの?
ご購入後間もなく、布団干しや何かの理由で「かぎ裂き」などをしてしまった場合、保証外の事案になります。
この場合、アイロンパウチで直しましょう。また、ご購入された場所に連絡を入れれば、通常は無料でアイロンパウチしてくれると思います。
ご購入後7~8年以上経過し、ヘタリを感じたり、汚れた場合は、羽毛布団のお直しになります。前述のお手入れをしていれば10年以上は大丈夫です。
お直しの方法は各会社でお直しの流れが違うため、しっかり確認しておきましょう。
櫻道ふとん店では、他社の羽毛も作り直しを受付しております。徹底した個別管理をしているため、自分の羽毛は必ずご自分に戻ります。
ここで、櫻道ふとん店のお直しの流れを簡単に説明させていただきます。
1.受付完了後、お客様に専用の袋を送付
2.中身と生地質の確認、お客様のご要望確認・見積もり
3.羽毛の取り出し
4.個別の袋に入れ、富士山の湧水にて羽毛の洗浄
5.ご指定の羽毛生地を縫製し、羽毛布団に仕立て
6.送付
となります。個別対応のため、約1か月~1か月半かかります。
詳しくは「買った時よりいい布団!羽毛布団のお直し」をごらんください。
8.いまの羽毛布団をクリーニング・お洗濯するより、新品にした方がいいのかな?
羽毛布団の寿命はとても永いものですが、使用方法によってはぺちゃんこになります。
前述のとおり、最低5年に一度は布団のクリーニング・洗濯をしていると長持ちしますが、ねじれるような行為、ギューッとしたり、足でごしごしなどをすると羽毛がねじれ、からまり、どんどんぺちゃんこになっていきます。
こうなると、お直しをしてもふっくらが戻らない羽毛になってしまい、新品購入になってしまいますので、ご注意を。
新品にした方が良いのか、お直しで良いのかは自宅で簡単に診断できます。
1.品質表示に、ダウン比率が85%以上と書いてある。
2.羽毛布団を四つ折りににして、その四つ折りの高さが30cm以上のふくらみがある。
以上2点が合格なら、お直しをした方がお得です。
また、四つ折りのふくらみの高さが40cm以上であればとても上質な羽毛です。
詳しくは櫻道ふとん店の羽毛直しのページをご覧ください。