1.私の腰痛経験をお話しします
こんにちは。布団マイスターの櫻道太郎です。
腰痛の話となると、マイスターにはエピソードがいっぱい。実はかなり年季の入った腰痛持ちです。
少々長くなりますが、覚えのある方には興味深い話だと思います。ぜひお読みくださいね。
高校を卒業してすぐに、東京蒲団技術学院に入学しました。
布団製作の技術と、専門知識を教えて布団製作の国家検定技能士を育成するための専門学校でした。
入学した昭和55年当時は1年生が80人以上いて、3つのルートで学校に通います。
1つ目は自宅から。
2つ目は学校の寮から。
3つ目は、学校指定のふとん屋さんに住み込みさせていただき、住み込み先から。
私は、3つ目の住み込みでした。
学校は1週間に2日。
残りは、住み込み先の親方に布団製作の指導をしていただきながら働き、磨いた技能を確かめようと、学校で同期の仲間と時間や速さを競ったりもします。
布団屋さんは、畳の上で四つん這いになって、朝から晩まで働きます。
当然、職人さんは、手首、ひざ、腰のどれかが痛くなるか、2つ3つの傷みを抱えます。
職業病ですね。
なかでもかなりの職人さんはひざが変形しています。
修業を終えて実家に帰った私は、20歳の時、仕事中に四つん這いの状態で、ほんの少し手を伸ばした瞬間に、初めてギックリ腰になってしまいました。
四つん這いの状態のまま、息が苦しくなって、脂汗が顔からしたたり、指一本動かすのも怖くて怖くて、両親に支えられて地元では有名な整骨院に連れてってもらい、パキンと腰の骨をならして、湿布を貼って完了。
自宅で2日寝込みました。
それから3か月後に、「あっ、またギックリきそう」で、今度は病院へ。
レントゲンを撮ってもらい、あたたかい電気をかけて、湿布。背骨と背骨の間隔が少し狭くなっていて、「このままだとヘルニアになりますよ」と言われました。
でも、布団職人を辞める訳にもいかないし・・・。
まだ20歳なのに・・・。
友人、知人、先輩、お客さんなどに聞き込みをしたところ、病院だけでなく、鍼、整体、マッサージ、お灸、カイロなどに通っていることが分かり、評判のよいところにせっせと通いました。
評判がよいところに行くと、しばらくは大丈夫なのです。
それで3〜か月に1回はどこかに行って治療してもらう日々がそれから7年間続いておりました。
ギックリが起きそうなときはわ分かるので、無理をしないで湿布と治療院というわけです。
氷の湿布は結構効きました。
カイロプラティックで有名な先生と、整体で有名な先生に同じことを教えていただいたのです。
ビニール袋に氷水をつくり、腰の部分に当てて15分間冷やします。
この後、5分~10分そのまま(氷水を付けない状態)にして、さらにもう1回15分間氷水を当て、その後はお布団にしっかりと入り、ゆっくり寝ます。
そんなある日、とてもお世話になっている恩人の家に行ったとき、
「布団屋のあんたに布団を紹介するのはおかしいけど、トルマリンの敷布団を使ってみたら?」
と言われたのです。
新しい素材ならば試してみようと思い、使い始めました。
するとまず、布団の上にのっている時は冷え性がなくなりました。
続いて、下痢症で、ビールや牛乳をコップ1杯飲むと、もうだめ!だったのが、どんどんよくなり、1ヶ月後には、ビールや牛乳を飲んでも平気になりました。
肝心の腰痛ですが、「あっくるな!」という状態が減り、湿布だけで治るようになり、いろいろな治療院へもほとんど通わなくてよくなりました。
当時は、50歳になったとき、自分はどうなってしまうのだろう?という不安がとてもありました。
その時に出会ったトルマリンの布団を自分流に作り、どんどん進化させたのが、「腰いい寝」「快眠の王」です。
56歳を過ぎた私(平成31年4月現在)は「快眠の王」をほとんど毎日使っています(ときどき新商品を実験するので、違う布団を使います)。
腰の「あっくるな!」さえ、ほとんどない快適な毎日です。
2.腰痛の原因を布団屋の目線からおすすめ
腰痛のマイスターは、たくさんの治療法、たくさんの敷布団を試してきました。
実際の患者であり、また毎日使う布団のプロという観点から、腰痛になってしまう根本的な原因をまとめてみます。
2-1【腰が沈む敷布団】
腰が沈む寝姿勢を続けることが腰にいいはずがありません。
まず木綿・羊毛の敷布団を考えてみましょう。
昔から日本の布団職人がつくる敷布団は、中高式といって、腰の部分を膨らませてつくります。人体で一番重たいのが腰だということを昔から知っていたのです。仰向けで眠ったとき、腰が少し浮き、寝姿勢がキレイに保たれるようになっています。
余談ですが、「敷いて3 年、掛けて5年」という昔からの格言があります。
木綿の敷布団は3年で見直さないと、船底みたいに真ん中がへたってしまい、腰に悪い敷布団になってしまいます。3年でお直しをしましょう。
そういったわけで、昔の人はよく布団の手入れをしたのです。家族も多かったので、毎年打ち直しをしていたわけです。
ところが、大量生産の布団が世の中に出回り、そいうった大切な格言もすたれました。
布団屋になった私は、この中高式をとことんつくってみました。
私の腰がよくなれば、みんなにもよいはずだと・・・。
ところが、どのように作っても、腰はよくなりません。
素材を変えて、羊毛(ウール)の敷布団にしてみました。
ウールは湿気や、保温のコントロールが木綿より優れていて、体にいいからです。このウールを使い、中高式に作ってみましたが同じでした。
今度は、世の中に出回っている健康敷布団を試しました。
磁石入りの敷布団。
ふっかふかの厚めの敷布団。
電気で、マイナスイオンと遠赤外線を出す敷布団。
ローラーがついていてマッサージチェアのようにカラダをもみながら、電気で温める敷布団。
空気で指圧してくれる敷布団。
体圧分散式の布団。
固い綿の敷布団、ムートン敷布団・・・
などなど。
おそらく、こんなに試した人は、同じプロでもあまりいないのでは?と思っています。なにせ、家の女性陣がそんなに試してどうするんだ!と怒ってましたからwww。
さて、この中で一番ダメだったのが、ふっかふかの厚い敷布団でした。
寝心地はよいのですよ、寝心地は。
でも、しばらくすると、カラダが“だるおもっ”になって、背中が張って、腰にきて、例の「あっくるな!」という経路をたどります。
何回チャレンジしても。
逆に一番よかったのは、体圧分散式の「ムアツ布団」でした。
私が普通の布団屋だったら、自分で「腰いい寝」や「快眠の王」を開発しなかったら、「ムアツ布団」を販売していたと思います。
でもムアツでは腰痛がよくならなかったのです。
信州大学繊維学部との共同研究をして分かったことですが、市販されている敷布団の多くは硬いといっても、腰の部分が沈んでしまう硬さの敷布団だったのです。
2-2【姿勢が悪い】
腰痛で病院や治療院などへ行くと「姿勢が悪い」といわれます。
座っている姿勢、立っている時の姿勢。車を運転している時の姿勢。
私が病院へ通った頃は、「寝姿勢」については言われたことがありませんでした。
布団屋の私は、「眠っている時の姿勢は敷布団次第じゃないか!」と、いつも心で思っておりました。
2-3【内臓も腰痛と関係が?】
お腹が痛い時には、背中が曲がります。これと同じように、冷え性、血行障害、血圧、胃腸虚弱、下痢、便秘、血糖値、尿酸など、内臓に不安がある人は、内臓をかばうようになるので、お腹が痛いときと同じように、自然と背中が曲がります。
これでは、姿勢がよくなりませんよね。
卵が先か、ニワトリが先か?の話と同じになってしまいます。
自分のからだとしっかり向き合い、病院の先生の指示に従って、通院したり、薬を飲んだりすることも、とても大事になると思います。
2-4【筋肉のバランス】
私の住んでいるところは富士山麓の御殿場市で、富士山にとても近いところです。
そんな田舎なので鍬(くわ)を持ちます。
畑仕事をするとき、利き足の右足を前に出し、鍬を持ちます。
この姿勢を長く続けると、骨盤が右に下がってます。そして、左側の背筋をたくさん使います。
その結果、左側の筋肉が縮んで固まってコリやすくなります。
作業を終えて、そのままにしておくと、左側の筋肉と、右側の筋肉のバランスが崩れます。
すると背骨が曲がりますよね。
骨盤もずれてますね。
背中や腹筋の筋肉のバランスが崩れると、腰痛の原因になります。
2-5【骨がずれている】
レントゲンを撮ってもらうと、骨がずれていることがわかる場合があります。
長年のくせや、事故によるもの、スポーツや仕事によるものなど、原因はそれぞれ違うかもしれませんが、いずれにせよ、骨がずれていると神経に当たり、腰痛の原因になります。
3.腰痛のおすすめ対策と予防
原因がわかったら、その対策を日々の生活の中で取り入れていきましょう。
さらに、予防をすることも大切です。無理せずにできるところから、少しずつ取り組むことが大事ですね。
布団が改善に役立つこともありますよ!
3-1【湿布と温泉綿】
ギックリ腰などの常連さんになると前触れを感じる人が多いと思います。
そんな時におすすめなのが、櫻道ふとん店が開発した特許製品の「温泉綿」をおすすめします。
前触れを感じたら、たいてい湿布を貼るでしょう。
その上から「温泉綿」をのせ、腹巻などで止めてみてください。湿布の効きがとてもよくなります。
3-2【腹巻(トルマリン入り)】
原因のところで述べましたが、お腹が痛い時には、背中が丸まり、よい姿勢ができません。少しでも内臓をあたためましょう。
そのために、遠赤外線放出の天然石トルマリンを配合した腹巻きがおすすめです。
マイスターは、腰痛はもちろん、下痢症、アレルギー体質、不整脈、冷え性などを持っています。
夏でも腹巻をしています。夏は汗をかきますが、離したくはありません。
目が悪い人がメガネをかけるように、内臓に不安がある人は、腹巻をしましょう。
3-3【ストレッチ】
布団に寝ながらのストレッチがあります。
前述の筋肉のバランスをとる方法です。
寝ながらするストレッチですので、そのまま眠ってしまっても大丈夫です。
まず、仰向けで敷布団の上で寝ころびます。
次に背伸びをするように両腕を上にあげます。
背伸びは、指先をピンと伸ばし、手首を突き上げるようにします。
両腕は伸ばしたまま、片方ずつグーッと伸ばすのがコツです
同時に足ですが、つま先を伸ばして背伸びしながら、かかとを片方ずつ突き出します。
伸ばしたい方を片方だけ手足一緒に伸ばすのです。
すると、背中の筋肉が伸びるようになります。
左右同じようしなくても大丈夫。というのは、伸ばしたい方を人は勝手に感じるからです。今日はこっちの方がよいとからだにまかせるとよいと思います。
伸ばしている時、ゆっくり深呼吸を3往復。
吐いて~吸ってを3往復です。
吐くときに、背中の筋肉がつりそうになる時がありますので注意してゆっくり、無理をせずにおこないいましょう。
すると、背中の左右の筋肉のバランスが取れ、骨盤のずれ、足の長さも一緒になります。
整体に行かなくても背中の筋肉のバランスは、この「寝ながらストレッチ」で対策できます。
3-4【運動】
1日30分のウォーキングをしましょう。
背骨を支えているものは何だと思いますか?
「関節」と答える人がとても多いのですが、実は筋肉です。
歳をとると、たいていの人は背が縮みますね。背骨を引っ張り上げている筋肉が減少するからです。
でも、ご存じですか?
筋肉は100歳でも増えるのです。
反対に、1週間でも運動しないと、若くても筋肉は減少します。
スイミングが一番よい良いのですが、気軽にというわけにはいかないもの。
だから1日30分、腕を大きく振ってウォーキングをしましょう。
ではなぜウォーキングやスイミングがよいのでしょうか?
どちらも、左右対称にバランスよく筋肉を使うからです。
もし目をつむってスイミングをしたら、右腕が強い方なら左の方向に曲がってしまいます。
目標を定めてまっすぐ泳ごうとするから、左右同じだけのバランスよく筋肉を使えるわけです。
ウォーキングも同じです。
まっすぐ歩くから、バランスよく筋肉を使うから、とてもよい運動です。
これらで背骨をしっかり支えたら、背骨がまっすぐに引き上げられ、よい姿勢が楽に作れるようになります。
3-5【バランスのよい食事】
関節がすり減っている場合、運動をしても、ストレッチをしても、関節の原料がなければ関節がつくれません。
原料となるグルコサミンやコンドロイチン等のサプリメントを補うのは、理にかなったことといえそうです。
けれどなにより大切なのは、消化のよい食事をバランスよくとること。
身体に必要な栄養分をしっかりと吸収しなければ、筋肉も、関節も、骨自体もつくることができません。
3-6【硬めの敷布団・マットレスを使う】
寝姿勢をしっかり保つことが重要です。
人は自分の筋肉と同じ硬さを敷布団、マットレスに求めます。
家具屋さんなどに行くと、ズラーっとベッドが並び、
「お好きな寝心地をお選びください」という具合。
一見とてもよい選び方に見えますが、実はあまりおすすめできません。
アスリートやしっかり運動している人は、自分の体をしっかり支えられるだけの筋肉を持って選びますので、眠っている間もしっかり支えられる硬さを選びます。
しかし、現代人のほとんどの方は運動不足で、少ない筋肉量の状態でマットレスを選ぶため、体を支えられないやわらかなものを選んでしまい、結局腰痛になるリスクが増えるのです。
寝心地テストをして選ぶのなら、少し硬めを選ぶのがコツとなります。
やわらかで気持ちよいウオーターベッドや低反発の敷布団などは、腰痛の方は使わない方がよいです。
腰痛の方や、腰が気になる方は、高反発系の敷布団やマットレスを選びましょう。
4.腰痛の方におすすめの敷布団の硬さ
JIS規格では、敷布団やマットレスの硬さを「ニュートン数」という単位で表記しています。
一般に、100ニュートン以上は硬め。それ未満がやわららかめとされます。
しかし、腰痛のマイスターの体感では、最低でも160ニュートンはないと硬めとはいえません。
重い腰痛ならば、200ニュートン以上のマットレス敷布団を選びましょう。
ちなみに、櫻道ふとん店の「カルカル敷布団」は、160ニュートン。
「腰いい寝」はその1.3倍以上で200ニュートンは軽く超えています。
また、樹脂素材のようなからだを冷やす素材よりも、からだをしっかり保温し、適正体温に保つ素材がよいと思います。
結果、櫻道ふとん店の「腰いい寝」「快眠の王」をおすすめします。
5.腰痛の人がぐっすり眠れる敷布団とは
腰痛に苦しみ続けた私の体験を通してお話をすると、敷布団がかなりの腰痛の原因でした。
人体を頭・胸・腰・足と4つに分けると、一番重たいのはどの部分でしょうか? 重たい順に腰44%、胸35%、足13%、頭8%となります。
この体重分配のとおり、寝ている間に腰が落ち込むのが腰痛の原因でした。
睡眠は1日の3分の1といわれるだけあって、横になったり上を向いたり、布団にのいる時間が長いためそれまでの敷布団では、腰が沈み込む時間が長かったのです。
5-1【腰痛にいいのは硬い敷布団?やわらかい敷布団?おすすめはどっち?】
人体で一番重たい部分の腰。この腰を支え、寝姿勢をがっちりキープするのは、硬い敷布団でしょうか?やわらかい敷布団でしょうか?
腰痛持ちの私自身がいろいろな敷布団を試した結果、硬い敷布団のほうが寝姿勢をがっちりキープでき、腰痛が軽減されました。
昔から「腰が悪ければ“せんべい布団”」といわれます。
寝姿勢をキレイに保持しようと思うと、かなり硬めの敷布団が必要でした。
市販の敷布団を30種類以上実際に購入して、自分の腰痛のために試してみた布団屋って、そんなにたくさんはいないと思います。
結局、市販品で一番良かったのは「ムアツ布団」でした。
ただ、これでも私にはまだやわらかくて、寝具用のウレタンでは一番硬い素材を使用してみたらバッチリ。
さらにこの敷布団を信州大学繊維学部様と眠りの研究をして、もっと腰に良く、眠りが深くなるようにしました。
5-2【腰痛にいい硬い敷布団でぐっすり眠れる?】
腰痛によいのはかなり硬い敷布団です。
しかし、床や、コンクリートのような硬さでは、いくらなんでも心地よく眠れません。また、男性ならともかく、やわらかいお肌の女性では・・・。
信州大学繊維学部で教えていただきましたが、敷布団マットレスは「ABC思想」でつくるのが理想的なのだそうです。
ABC思想とは、敷布団マットレスがA層B層C層の3つの層からなっていて、A層でやわらかく受け止め、B層で背骨をがっちり支え、C層は平面で自分の好きな硬さでよいというもの。
A層は言ってみれば肌心地。ふわっと衝撃を受け止める役割です。脳波計で測定すると、リラックスモードの脳波、アルファー波がたくさん出ている状態がよいのです。
B層は、体圧分散計。腰がどれだけ沈んでいるのか、圧力で判断できます。
C層は一人ひとりのお好みなので、腰との関係が薄くなります。
信州大学繊維学部でもいろいろな敷布団を計測していますが、市販品の敷布団マットレスはB層がないのがほとんどのようです。
5-3【敷布団で腰痛改善のおすすめポイント!】
私の経験から、実際に腰の痛みが軽減されたり、腰のこわばりが気にならなくなったりした例をお伝えしましょう。
5-3-1《腰痛におすすめ敷布団ポイント1『姿勢』》
敷布団で姿勢がかなりよくなったと思います。
綿入れの仕事は朝から晩まで四つん這いなので、腰を常に曲げっぱなしです。
夜寝るときに、腰が伸びる硬めの敷布団にしたところ、6時間から8時間眠っている間に、曲がった腰が伸び、疲れが取れていると感じます。
5-3-2《腰痛におすすめ敷布団ポイント2『血流』》
敷布団は通常、平らな面でからだを支えます。
櫻道ふとん店の敷布団や、西川さんの「ムアツ布団」は点でからだを支えます。
面でからだを支える眠りと、点でからだをえる眠りとでは、接触する面積が違います。
当然、面でささえる布団の方が、布団と肌が接触する面積が大きいですよね。
ということは、「血管がその分押されている」ということになります。
すると血流が悪くなり、血が通わなくなるので、自然に寝返りをうちます。
また、病気や高齢化で寝返りがうてなくなり、寝だこ(褥瘡)ができてしまうこともあります。
信州大学繊維学部での実験結果でも、面で支える敷布団より、点で支える敷布団の方が早くしかも深く眠れる。という結果が出ています。
5-3-3《腰痛におすすめ敷布団ポイント3『寝返り』》
寝返りは、前述の血流との関係以外にも理由があります。
信州大学繊維学部では寝返りの研究もやっています。
加速度計を付けて一晩寝て、寝返りの回数、速さ、それから寝返りの仕方を教えていただきました。
寝返りの仕方は、肩から動かす上半身型、腰から動かすもの、ひざから動かす下半身型があります。
一番自然なのが下半身型。
エネルギーも最小で回れるので、ほとんどの方がこの方法で寝返りをうちます。
寝返りには、
日中動かした筋肉の疲れを効率的に取る、
背骨を中心に左右の筋肉のバランスを取る、
スポーツなどの反復練習の整理、確認、血行促進など、
さまざまなな理由があるといわれます。
一晩の寝返りの適正回数は20回から多くても30回です。
このとき、寝返りを覚えていたら、眠りが浅いということになります。
下半身型で寝返りをうつとき、敷布団がやわらかだと力が必要になり、目が覚めやすくなります。
これとは反対に、硬い敷布団で眠ると、寝返りが簡単にできますので、深い眠りのまま、寝返りしたのも気がつきません。結果、硬い敷布団の方が、眠りが深くなります。
5-4【腰痛持ちに高反発敷布団という選択】
高反発の敷布団は、低反発の敷布団に比べて腰にはよいです。
ただし、JIS規格にでは「ニュートン数100以上は硬め」となっていますが、100はとてもやわらかいのです。
ニュートン数というのは、平面のウレタンマットレスを5cmの厚みにして、直径200mmの棒で40%押しつぶしたときのkg数です。
つまり平らな5cmの厚みのマットレスを3cmまでつぶすのに、何kgの重さでつぶれるか?ということです。
低反発などは完全に100ニュートンを下回ります。
ホームセンターなどで売られている高反発の140ニュートンのウレタンマットレスなどは、5,980円~7,980円程度なので、お求め安いのですが、腰には全然もの足りません。
あと、何年か前からインターネットで、140ニュートンの中国製のウレタンマットレスを39,800円と、とても高く販売されているところがあります。
使ったことがないので、なぜ、そんなに高いのかが分かりませんが、ホームセンターの商品と見比べてから、ご購入された方がよいかもしれません。
ちなみに、櫻道ふとん店の「木綿タイプ(14,800円)は、160ニュートンのウレタンを特殊加工してあります。
ところで、櫻道ふとん店の「腰いい寝」敷布団のように凸凹加工したウレタンマットレスのことを、「プロファイルウレタン」と呼びます。
こちらの商品は、凸凹状にカットした後にニュートン数を計測すると、毎回違った結果がでてしまいます。
おそらく有名メーカーのニュートン数は、何回か計った平均値で公表していると思いますが、正式には、平面の状態で計測したニュートン数を表示するのが正しいのです。
櫻道ふとん店の「腰いい寝」「快眠の王」のニュートン数を公表しないのは、何年もかかった商品開発の商品を安易にコピーされないためです。
少しだけお教えすると、
「カルカル木綿敷布団」は160ニュートン。
「腰いい寝」は、もっともっと高いニュートン数でできています。
そのため「超高反発」となってます。
5-5【体圧分散の効果】
体圧分散とは、からだの圧力を分散させることです。
人は流線型でできています。
立っているときの姿勢を横から見ると、背骨がS字状になっています。
硬い敷布団に寝ると、腰の部分は敷布団から少し浮きます。
また膝の裏にも、ほとんど体重がかかっていません。
この、ほとんど使われていない部分にも、体重を分配したら、寝だこ(褥瘡)で苦しんでいる病人を助けられるのではないか?
という発想から生まれました。
そこで、目をつけたのがNASAが開発したウレタンシート、未発泡ウレタン。
つまり低反発ウレタンです。
宇宙飛行士が発射のときにかかる重量は体重の10倍。
普通のシートでは背骨がやられてしまうため、低反発ウレタンで衝撃を吸収したのです。
この技術を寝具に応用したのが低反発マットレスです。
解消したかったのは、褥瘡つまり寝だこ。
ところが一般の人には少しやわら過ぎて、特に腰痛の人にはおすすめできません。
昔話で少し話が離れますが、話のつながりで読んでください。
マイスターの妻は薬剤師です。薬局を経営しております。
ちょうど「快眠の王]を大学と共同研究しようと思ったとき、妻が卒業した大学の同窓会が開かれるというj情報。
「眠りや圧力のことで相談に乗っていただける教授さんっているかな?」
と相談したら、
「慶応大学だからいるよ~」
と出かけて行き、
「お願いしてきたよ~」
と、ある先生を紹介していただきました。
一通りこちらの意向を伝えると、
「奥さんから話は聞いていたけど、君の言っていることはむずかししいな~。よく分からないところがたくさんある。私の友人が褥瘡対策に低反発マットレスを提唱して、体圧分散を試みたけど、今度はいろいろなところに負担がかかって、あれだろ~圧力だけじゃね~。」
「まあ、医者と研究するか、もっと昔からそういう研究をしているところにこの話は持っていったほうがいいな~」
と断られてしまいました。
それからしばらく経って、信州大学繊維学部の先生をある方にご紹介いただき、現在に至ります。
体圧分散は深さが関係していると思います。
ある程度の深さまでは体圧を分散した方がよいのですが、深すぎると、寝返りの時には目が覚めてしまう、仰向け寝には腰が沈みすぎて腰痛の人には適していない、ということになるので、浅い体圧分散がよいと思います。
つまり、「からだの全体で体圧を分散しないで、ある程度分散し、寝姿勢は崩さない」という体圧分散が理想的だと考えます。
少し余談ですが、私どもは信州大学で体圧分散計を使った実験をたびたびしております。
あるとき、私たちが気にしている最近の敷布団、マットレスもホームページに記載されている体圧分散の図(人が通常の敷布団にのっているときの体圧分散の図=赤、黄色、緑の点で表現されている図と、比較したいその店の敷布団の体圧分散の図が2つ並んでいる図)の話題になりました。
「この体圧分散ちょっとおかしいですよね」
「これ、違う人が乗ってます」
とか、
「この点の配置だと画像加工してあるよ」
「計算すると、同じ体重ではないよね」
・・・・って。
専門家が見れば、一目でわかるんですよ。
敷布団を購入前に「お試し」がおすすめ!
ネットでのお買い物で、だまされないために。実際に「お試し」をうたっているホームページでは、次のことに注意して見てくださいね。
①実際にお店があるかどうか購入前にチェックをお忘れなく
最近、とても安いマットレスを、高価な値段でネット販売しているところがあります。
(実際のお店がないケースが多いです。)
「返品ができます」がうたい文句のネット販売でも、返品の運賃がとても高く、とても返品する気になれないと、購入してから気がついたり、送り先に実店舗がなかったり。
②電話で相談してみる
電話で相談してみて、後々もしっかりと対応してくれるか、確認してみましょう。
(こちらも実際に店舗があればいつでも相談に乗ってくれるはず)
③購入前にお試しレンタルをしてみる
店舗にいけない方は、レンタルやお試しをしてみましょう。
たとえ櫻道ふとん店からご購入予定でも、念のためいったんレンタルをしてみて、
「本当だ!」「誠実だ!」とお感じになってからご購入を決断なさってかまわないのです。
そのためのお試しレンタルなのですから。