1.気になるカビ…どんなところでも発生します
アレルギーの元になるカビ。
カビが生えない場所なんてないのではないか?
と思うくらいいろいろなところにカビは生えます。
たとえばガラス。
カビにとってガラスのどこがおいしいのでしょうかね?
私の住んでいる静岡県御殿場市は富士山の麓にあります。
毎日、富士山を見ていますが、午後はほとんど雲がかかります。
御殿場市は湿気の多い地域で、年間降水量も日本一の降水量である潮岬(しおのみさき・和歌山県)に匹敵します。
そのため、カビもすごいです。
はじめて御殿場市に引っ越してきた人が、
「タンスの中で背広をカビさせてしまい、驚いた」
というのは、よく聞く話です。
もちろん建物の位置や、木造、鉄筋などの構造の違いもありますが、御殿場市のほとんどの家庭で除湿器が必需品で、電気屋さんの除湿器の売り上げは日本一だそうです。
また、カビは喘息や鼻炎などの原因にもなります。
保育園の保護者会長をしていたときに、あるお母さんが、保育園の先生に注射器のようなものを預けているのを見ました。
理由をたずねてみると、
「6月には黒カビが空気中に発生し、喘息になるから、
保育園にいるときに発作が起きてしまった場合、吸入器を使ってほしい」のだとのこと。
富士山麓では、特に6月と9月に黒カビが空気中に発生しやすいそうで、準備をするのだと教えてくれました。
2.カビの種類と敷布団のカビ対策
私たちが日常的に見るカビの種類は
①黒カビ
②赤カビ
③青カビ
④緑カビ
⑤黄カビ
⑥白カビ
の6種類です。
カビ対策はとにかく湿気をコントロールすること。
乾燥させておけばカビは生えません。
ちなみに水虫もカビの一種ですよ。
それでは、寝具のご使用状況ごとのカビ対策についてお伝えしていきます。
2-1【カビ対策・ベッドをご使用の場合】
「ベッドなら、フローリングや畳よりも高さがあるので。カビは生えない。大丈夫。」
と思っていませんか?
ベッドでも通気性が悪く湿気が溜まり、カビが生えてしまう場合があります。
ベッドのマットレスにはほとんど鉄製のスプリングが入っています。
このスプリングを布で覆っています。
スプリングそのものはカビませんが、布はカビます。
ベッドのフレームは木でできてます。
このフレームもまたカビます。
こんな例があります。
新築のマンションに入って新しいベッドを購入した方から3か月後に電話がかかってきて、
「ベッドがカビた」
というのです。
驚いた私はすぐにおうかがいし、拝見したところ、本当でした。
フレームも、ベッドマットレスも、タンスも、ゴミ箱やカーテンまでカビていました。
除湿器を購入するようにおすすめしましたが、扇風機で何とかするということでした。
しかし、湿気のコントロールには除湿器が1番です。
また、エアコンの除湿もカビ対策に有効ですね。
2-2【カビ対策・畳に敷布団をご使用の場合】
畳は、い草に除菌効果や湿気を吸う力がありますが、やはりカビてしまいます
特に、畳の上で敷布団を敷きっぱなし(万年床))にすると、畳からカビが移り、敷布団もがっつりカビてしまいます。
畳の上に敷布団を使用される場合のカビ対策は…
1.敷きっぱなしは避ける
2.畳と敷布団の裏を乾かす
3.除湿器を使用する
やはり、どんな場所でもカビ対策には換気と乾燥が1番ですね。
2-3【カビ対策・押入れ保管時の敷布団】
押入れに入れてある布団にも換気が重要です。
もちろん、御殿場市でもそのまま押入れに入れておくとカビてしまう家がかなりあります。
押入れに入れっぱなしではなく、
押入れのふすまを両方あけて、
押入れにも風を通す必要があります。
押入れでのカビ対策で1番効果を発揮するのはスノコです。
スノコを下の部分だけではなく、
押入れの横の方にも縦置きにして、
壁に直接布団が当たらないようにしましょう。
クローゼットの場合もスノコの上に置いてください。
2-4【布団圧縮袋は敷布団のカビ対策としては「?」】
ホームセンターなどで販売されているビニールの圧縮収納袋。
季節で使わなくなったお布団をしまっておくためには便利ですが、
圧縮収納袋での保管はなるべく避けてください。
というのも、圧縮収納袋の中で湿気が溜まったまま布団がカビてしまうからです。
ビニール袋の取り扱い説明書には
「半年に1回は袋から取り出して、布団を干してください」
と書いてあるようです。
しかし、やっとの思いで圧縮し、重たい布団を押入れにぎゅうぎゅう入れたのに、
たった半年でまた布団を干してふくらませて、また圧縮。
なんて、どれだけの人がするのでしょうか?
1年に何回かは、このビニールの圧縮袋の布団を来られ、打ち直しを頼まれますが、ほとんどがカビ臭く、中にはにおいを取り切れないようなものもあります。
布団のプロからは、ビニールの圧縮袋はおすすめできません。
収納するときは、できるだけ通気性のよい布か、布団をしまうためにつくられた布団袋をご使用ください。
3.敷布団のカビ対策グッズ
敷布団のカビ対策には次のグッズがおすすめです。
スノコ
除湿マット
それぞれのグッズの特徴をみていきましょう。
3-1【敷布団のカビ対策グッズ「スノコ」】
ホームセンターに行くと、木のスノコのほかにプラスチックでできたスノコが売られています。
通常、スノコは、押入れの下に敷くものですが、壁面まですべてスノコで取り囲むと、通気性がよくカビにくくなります。
別荘地や保養所などで、お手入れが大変なことが予想される場合、押入れの壁側までスノコを立てかけると、カビにくくなります。 また、このスノコを敷布団の下に敷くという方法があります。
櫻道ふとん店のお客さまで、
ベッドのスプリングマットレスの上に「腰いい寝」を使っている方がいらっしゃいます。
ベッドのスプリングがヘタって腰のあたりがつぶれてきたら、
ベニヤ板を敷いて、
その上に「腰いい寝」をお使いください。
と伝えたところ、
ホームセンターで「敷布団用のスノコ」を売っていたと言ってそれを買い、
ベッドマットレスの上に敷布団用のスノコ、
その上に「腰いい寝」を敷いたそうです。
そうしたら、とても腰痛によかったと教えてくださいました。
この方はカビ対策ではなかったのですが、
湿気の多い地方の方などにどこかでお伝えしようと思っていたので、ちょうどよかったです。
スノコでカビと腰痛対策、ですね。
3-2【敷布団のカビ対策グッズ「除湿シート」】
不織布でできている除湿シートです。
敷布団の下に敷いて、湿気を吸うものです。
湿気を吸うと、リトマス試験紙みたいに色で教えてくれます。
色が変わったら布団干しのように天日干しをします。
乾くとリトマス試験紙のようなものの色が元に戻ります。
元に戻ったら敷布団の下に敷いて大丈夫です。
この除湿シートは、薄くて敷布団よりは断然軽いので干すのも楽になります。
4.カビてしまった敷布団のカビ取りはどうする?
「敷布団がカビたので、お直ししてください」
「カビてしまった布団のクリーニングお願いします」
といったご依頼、ご相談が、梅雨の後半から秋までの間はとても多いです。
布団に付いていたカビの種類は、黒カビ、緑カビ、茶色っぽい赤カビの3種類はみました。
1番多いのは黒カビです。
この黒カビの場合、
クリーニングだけで大丈夫なのか、打ち直し(お直し)が必要なのかは、布団を見ないと判断ができませんが、
目安として、布団の側生地だけに点々と軽くカビが付いている場合は、
クリーニングでなんとかキレイにできる可能性があります。
ただ、黒カビの菌が側生地の繊維の中まで入り込んでいるような場合
(この場合、布団の中身までカビが付いてしまっていることが多いです)
は、クリーニング後の乾燥機のところで熱が集中してしまい、
穴が開いてしまったりするので、
クリーニングをお受けできない場合があります。
そのほかの緑カビ、赤カビが側生地だけに発生している場合は
クリーニングでけっこう落ちます。
布団の側生地を通り越して中身までカビが生えていた場合は
クリーニングでカビを取ることはほぼできません。
布団の中までカビが生えていると場合は櫻道ふとん店では打ち直し(お直し)をおすすめしています。
お直しをご依頼いただき、側生地を外して中身を点検したときに、 中の状態が広範囲でしかも深くまで侵入していた時は、 カビの生えた部分を切り取らなければならないことがあります。
天然繊維の場合、繊維の中まで入り込んでいる場合に、そのままお直しをしてもカビのにおいが残り、
さらにまたそこからカビが発生する可能性が高いからです。
こうなった場合、
カビの部分から被害に遭っていない部分まで少し大きめに切りってカビ取り作業をして、
残りを打ち直し(お直し)をして切り取った分量を足すと、
新品同様に使えます。
5.ベッドもカビるの?
ベッドマットレスがカビることもかなりありますよ。
ひどい場合、ベッドのフレームや板の中もカビてしまいます。
6.日頃からやっておきたい敷布団のカビ対策
スノコや除湿マットを使っていてもカビの対策は必要です。 気をつけなければならない点をいくつかお伝えします。
6-1【敷布団のカビ対策「部屋の風通し・湿気」】
梅雨や夏に湿気が入り込む地域や家などにお住まいの方は、
なるべく部屋の風通しをよくしておきましょう。
また、エアコンをかけたり、除湿機をつけたり、部屋の除湿対策も注意してください。
1週間に1回は押入れやクローゼットに風を通すようにしましょう。
押入れは、左右のふすまを両方20cmずつあけて半日程度換気をするとよいでしょう。
クローゼットの場合も同じように左右をあけて、通気を確保するとよいです。
6-2【敷布団のカビ対策「フローリングへの布団の直敷きは避ける」】
フローリングにそのまま敷布団を敷く場合、冬などに起こりやすいのが、結露です。
床が冷たくて、
敷布団から通ってくる湿気が温かいため温度差ができて結露になり、
フローリングが湿気っぽい状態が続きます。
フローリングに敷布団を敷く場合、
下にカーペットを敷いたり、
腰の辺りあたりを中心に大きめのバスタオルや毛布を敷いてもよいです。
6-3【敷布団のカビ対策「布団の敷きっぱなしはしない」】
敷布団には、ひと晩にコップ1杯の3分の2の湿気が通過します。
木綿わた敷布団や羊毛敷布団などは少し湿気を繊維の中にためます。
ほかの素材もそうですが、残りの湿気は敷布団を通して床や畳に届きます。
床との間に結露が起きた場合、床を乾燥させなければ湿気が逆流します。
コレが毎日続くとカビはすぐにやってきます。
ですから、敷布団の敷きっぱなし、万年床はどんな素材でも、絶対にしないでください。
朝、起きたら必ず床を乾かすように、布団をあげましょう。
6-4【敷布団のカビ対策「定期的な天日干しを行う」】
マンションなどで布団干しができない環境にある場合を除いて、
できるだけ天日干しが必要です。
木綿わた敷布団なら、40分程度で裏返し、合計80分〜90分程度干しましょう。
ポリエステルなら20分程度の裏表。
羊毛、ウレタンは5分程度の裏表、お日さまの香りが付いたらしまって大丈夫です。
羊毛やウレタンの日頃のお手入れは、風通しのよい日陰に立てかければ大丈夫です。
たまにお掃除をしながら表5分裏5分と天日干しをすれば完璧です。
補足ですが、布団干しは午前中がよいですよ。
日光の光線の中には赤外線、遠赤外線、紫外線とたくさんのスペクトルが入っています。
日光が布団の側生地に当たると、しばらくしてからオゾンが発生します。
このオゾンがお日さまの香りをつくり、また、90秒で表面は殺菌完了となります。
日光浴ってすごいですよね。
6-5【敷布団のカビ対策「布団乾燥機を活用する」】
天日干しができないマンションにお住まいの方や、
花粉症などの期間など、何かの理由で、天日干しができない場合、
布団乾燥機を使いましょう。
冬などは、就寝前に布団乾燥機を毎日使って、あたたかくなった布団で眠ってもよいですね。
また、布団乾燥機をお持ちでない場合は、
ホットカーペットの上に布団を敷いて、あたためてあげるだけでかなり違います。
カビは熱にも弱いので、ちょっと高温であたためてあげるととてもよいです。
7.カビにくい敷布団《素材別》
最初からカビにくい敷布団を選ぶのも、カビ対策として大変有効です。
カビにくい敷布団は、素材が工夫されています。
代表的な
①樹脂素材
②遠赤外線放出タイプ素材
の敷布団についてみてみましょう。
7-1【樹脂素材の敷布団】
樹脂素材の敷布団は「エアウィーヴ」をはじめ、通気性がとても高く、カビの心配が1番少ない敷布団となります。
その理由は、素材が樹脂のため、
(1)繊維自体が水分を吸わない
(2)インスタントラーメンのような構造のため、通気性抜群で、乾燥しやすいということです。
7-2【遠赤外線放出タイプ素材の敷布団】
遠赤外線を放出する敷布団には2種類あります。
(1)電気を入れて電熱線が温まる、ホットカーペットのような敷布団
電熱線のタイプと、もう1つカーボン発熱体というものがあります。
面全体がカーボンのシートになっているため、電磁波がおきにくいと販売。
ところが、電磁波測定器で測定をすると、電磁波がかなり出ていることが判明し、ニュースにもなりました。
カビには、熱に弱いという弱点がありますので、電気を使用していれば、カビが生えにくくなります。
(2)トルマリンなどの遠赤外線鉱石を使用したわたの敷布団
まずはじめにお伝えしておかなければならないのは、
ヒートテックとは違うということです。
ヒートテックは人体から出る湿気を熱に変えます。
ですから、お年寄りなど、運動が少なくなっている人が使うと、そんなにあったかくはないのです。
ヒートテックとは違って、遠赤外線放出の場合、
お年寄りや運動量の少ない人でもあたたかさを感じると思います。
ただし、糖尿病患者さんなどのように神経が感じにくくなっている場合は、感じにくいかもしれません。
また、遠赤外線を出す綿は2タイプあります。
人体から発する遠赤外線を反射させるタイプと、
元々その鉱石から遠赤外線が出ているタイプがあります。
どちらも電気を使わずに遠赤外線がでますので、通常の布団よりはカビにくくなります。
8.季節別の敷布団カビ対策
夏と冬とで湿気に違いがあります。
夏は気温が高いため、おなじ湿度でも空気中の水分は上がります。
また、温度もカビが繁殖しやすい20〜35℃が1日中続きます。
東京都の場合ですと、6月〜9月ごろの梅雨から夏が当てはまります。
この時期は、家の中のどこがカビてもおかしくありません。
エアコンや除湿機で対策しましょう。
冬は気温が下がり、湿気る場所が限られてきます。
台所や風呂場、そして窓ガラス、カーテンそして敷布団の裏側です。
敷布団は、一晩でかいた汗や湿気の大部分を処理します。
このとき、敷布団の中に残る湿気と、外に吐き出す湿気があります。
優秀な敷布団ほど、湿気を中に溜め込まないで外に吐き出します。
この湿気の行く先は、敷布団の裏側です。
冬は床面が冷たく、敷布団と床面の温度差ができますので、結露が起きます。
窓枠と一緒です。
この場合、カーペットやバスタオル、毛布などを下に敷いてから敷布団を敷くと結露が起こりにくくなります。
9.布団をまめに干せない方へ
仕事や育児で忙しかったり、
腰が痛いなどの理由で布団をまめに干せない方は、
外で干さなくてもよい敷布団を選べば問題が解決しますね。
また、とりあえず現在の布団を使っておいて、
時間を置いて購入したい方は、それまでのメンテナンスの方法を考えましょう。
以下に、
①敷布団の選び方と
②メンテナンスの仕方
をお伝えします。
9-1【カビ対策を考えた敷布団の選び方】
どんな敷布団でも、敷きっぱなし、万年床はカビる確率がとても高いです。
ですから、上げ下ろしが楽ちんな敷布団を選びましょう。
また、立てかけるだけの部屋干しで、お手入れが完了すれば、とても楽ちんですね。
櫻道ふとん店の「腰いい寝」「快眠の王」なら、
シングルで3Kg程度(羽毛布団とおなじくらい軽い)なので、上げ下ろしが楽ちん。
また、立てかけるだけの部屋干しでお手入れが完了します。
9-2【カビ対策を考えた敷布団のメンテナンスの仕方】
干すのが困難だけれど、今ある布団をカビないようにするメンテナンス方法は、
主に次の3つ。
①布団乾燥機がある家庭は、布団乾燥機で問題解決です
②ベッドの家庭では、扇風機を使うか、エアコンを使いましょう
③フローリングの家庭では、床面からあげる方法として、スノコがおすすめです。