1.敷布団の洗濯方法《家庭で洗う》家庭で洗える敷布団は洗濯機には入らない
近年家庭で洗える敷布団が増えてきました。
本当に家庭で洗いますか?
というのは、敷布団のサイズは、100×210または200cm。通常の洗濯機には入りません。では、どうやって洗うのでしょうか?
お風呂場などの広いところに敷いて、シャワーなどを掛けて洗うことになります。
ところで皆さんは、家庭で敷布団より軽い毛布等を洗ったことがありますか?
厚手の毛布は洗濯機に入らないので、お風呂場に敷いて足で踏みつけて、そのまま足で洗います。
私は1回だけ洗ったことがあります。
手でなんかとても洗えなくて途中から、ダンスをしながら踏みつけて洗いました。
洗剤が泡立つと、楽しかったのですが、そこからが「1回だけ」という理由になります。
まず、洗剤を含んだ状態で脱水しようとしたところ、重たすぎるのと、水を吸った毛布は厚手過ぎて、男の私でも絞れません。
仕方なく、足で踏んで簡単に脱水し、大量のシャワーで流し、また踏んで脱水、を何回も繰り返し・・・。そうしないと泡が切れません。
なんとか洗い終えたのですが、裏返しをする気になりませんでしたから、しっかり洗った気がしません。
脱水を何とか終えたので、2階のベランダへ干すという予定でしたが、ものすごく重く、4分の1程度を持ち上げるのもかなり重く、まだまだ水が大量にしたたりました。
いったん浴槽のヘリに掛け、半日程度かけて乾かし、それでもまだまだかなり湿っぽい毛布を必死に持ちあげて干しました。女性は一人では持ちあげられないと思いますよ。
「エアウィーヴ」や「エアリー」のような樹脂でしたら、水を吸わないので洗剤を付けず、シャワーで洗い流す程度はできると思います。
でも、そもそも敷布団自体が重く、カバーをはずしたり、付けたりするのもめんどうですよね。
各社、「洗える敷布団」とあっても、実際に家庭で洗うと本当に大変です。脱水も、干すのも。干すのは2人がかりになると思います。また、乾燥が1日では終わらないでしょう。
2.敷布団の洗濯方法《コインランドリーで洗う》家庭で洗える敷布団をコインランドリーで洗ったら?
昨今のコインランドリーには、布団を洗える大型の洗濯機が置いてありますね。
中綿ポリエステル100%の洗える敷布団をコインランドリーで洗うなら、乾燥までしてくれるので、よいと思います。
ただ、中身がかたよらない洗い方ができるのか心配ですね。また、購入時にしっかりキルティングされている敷布団をかどうか見極めることが重要です。
というのも、たま~に「コインランドリーで洗濯をしたら、かたよってしまった。何とかなりませんか?」というお客様がご来店されるからです。
この場合、打ち直ししかありません。布団のクリーニング代はシングル敷布団2,980〜3,980円なのに対し、打ち直し代は9,800〜12,800円程度かかってしまいますから、結局高いものになります。そもそも洗える敷布団自体が買えてしまいますね。
また、「エアウィーヴ」など樹脂でできたものは、乾燥機が使えないと書いてありますので、ご注意ください。
3.「洗える」と表記していない敷布団は洗えないのか?
「洗える敷布団」と検索してみると、ほとんどの商品がポリエステル100%です。天然繊維を使用している敷布団はジャブジャブ洗えないということになりますが、クリーニングには出せます。
ウレタンマットレスもクリーニングできます。
ポリエステル100%の素材の布団は、実はプロとして、あまりおすすめできません。というのも、汗をほとんど吸収しないからです。ポリエステルはほんの少し汗を吸いますが、このチカラが1だとすると、木綿は20倍、羊毛は40倍、シルクは30倍、羽毛は120倍です。
「吸湿発散性」といって、湿気をどれだけ吸ってどれだけ吐き出せるかが、人体には「ムレ」という感覚で伝わってきます。
着るものに例えましょう。
ポリエステル100%は目の粗い穴の開いたビニールのシャツ。蒸れますが、短時間なら、雨の日にはよさそうですね。
木綿布団はTシャツ。汗をしっかりキャッチしてくれて、ジャブジャブ洗って天日干しで、サッパリと気持ちよいですよね。
羊毛(ウール)はセーター。サマーセーターは、夏でも汗のムレ感がなく、Tシャツよりも気持ちよく、冬も温かいですよね。羊毛は、木綿の2倍汗を吸い、自分で乾く力も2倍あります。これくらいだったら洗わなくてもいいか?と思ってしまうのは、こういう力があるからです。
人は眠るとき、皮膚の周りの温度が32〜33℃、湿度55~56%になると、脳波がアルファー波優位となり、早く深く眠れる準備ができます。眠りを重要視するなら天然繊維の方が気持ちよく、疲れが取れる眠りになります。
マイスターがポリエステル100%をすすめないもう一つ重要な項目が、
素材自体の保温力です。ポリエステル100%だと知らないうちにからだを冷やしてしまいます。2つの事例でお話しします。
3-1【子供の布団とおねしょの関係】
静岡県掛川市の布団屋仲間から聞いた話。
地元の保育園から、お昼寝用の布団のクリーニングの依頼を受けた際、保育士さんに「最近の子どもたちって、おねしょが多いのよね」と相談されたようです。
紙おむつをはずす年齢に達してもはずせない、外した子もおねしょをたまにする。ダニとおねしょのにおい対策で、保護者にお願いしてクリーニングを依頼しているのだとか。
そこで、その布団屋さんが、「木綿わたの敷布団を使ってみては?」と提案したところ、おねしょが激減したそうです。
ちなみに子どものおねしょは、地元御殿場でもたくさん相談されます。前述の事例を出し、保温力のある敷布団にしてもらい、子どもにもしっかり、このことを伝えます。子どもも「ああ~自分のせいではなく、布団のせいだったんだ」と安心して眠れ、暗示にもかかり、とても喜ばれます。そして「眠りも重要な健康管理の一つ」と、しっかり認識してくれます。
3-2【目で見える保温力】
もう一つの事例ですが、昔、冬にこたつを出す家がたくさんあったと思います。こたつはテーブルを乗せる台の下に、赤外線ランプが付いていて、赤い光が出ていました。
このこたつに布団を掛けるのですが、ポリエステル100%のこたつ布団をかけ、部屋の灯りを消すと、赤い光が漏れるので、こたつの電源を切り忘れたことに気が付いたものでした。
一方、木綿わたのこたつ布団を掛けると、赤い光が漏れないのです。これは、ポリエステルが熱を逃がしてしまい、木綿は熱を逃がさない、つまり保温力があるという証明です。
保育園の園児だけでなく、大人も気づかぬうちに内臓が冷えているかもしれません。自律神経が疲れてしまう恐れがあります。これがポリエステル100%の敷布団をおすすめできない理由です。
4.敷布団を洗う理由はなに?
多くの人が敷布団を洗いたくなる理由はいくつかあります。主なものは次の7つでしょう。
①ダニ
②ほこり
③汚れ
④臭い
⑤汗
⑥尿
⑦ペット
子育て中の家庭、介護中の家庭、ペットとともに寝ている家庭などは、きれいさっぱり洗いたいですよね。
また、アレルギーを持っていて、お医者様からの指導がある方は、洗える敷布団がよいかもしれません。
ただ、その他の健康面を考えると、現在市販されている洗える敷布団には、不安な面が多々あります。
自宅で洗える布団ではなく、クリーニングのできる布団で対応が可能ならば、なるべく「洗える」ことより「質の高い眠りが取れる敷布団」であることを購入の基準にした方がいいと思います。
5.天然素材の敷布団、自宅やコインランドリーで洗ってはいけないの?
「洗える布団」って、自分で洗うことを指すと思いますが、プロのクリーニングと何が違うのでしょうか?
羽毛布団や木綿、羊毛布団は、水に投げると浮きます。これは、天然の油脂が繊維の周りに付着しているからです。
この脂が、保温力や、長持ちの秘訣です。
羽毛布団に使われる羽毛は水鳥です。ニワトリなどの陸鳥は使いません。人が眠るときには、コップ1杯もの汗をかくからです。この湿気が布団の中に入り込むと、ニワトリの羽はぺちゃんこになり、温かくないからです。湿気を吸ってもしっかりふくらみを保ち、保温ができるのは、水鳥羽毛をはじめとする天然繊維の特殊な能力によります。
木綿わたの布団も、植物を原料のまま使うので、油脂分が入っています。病院で使う脱脂綿はその名の通り脱脂された綿で、水をよく吸い取ります。しかし、ふとんに使われる綿はそのままなので、水ははじきますが、湿気は吸い取ります。脱脂綿を水に投げると沈みますが、布団綿は浮きます。羽毛と同じですね。この天然の油脂分を落とさないで洗うのがプロのクリーニングです。
ところで、家庭で使う洗剤にはプラスイオンの洗剤とマイナスイオンの洗剤があります。
においが気になる人はプラスイオンの除菌専用洗剤。汚れ落としはマイナスイオンの汚れ落とし専用洗剤。一般的な洗剤はこのどちらかになります。
マイナスイオンとプラスイオンを混ぜると、汚れも落ちない、においも気になるという結果になってしまいますので、やめたほうがよいですよ。
これらの家庭用洗剤で布団を洗うことになるのですが、特に汚れ専用のマイナスイオン洗剤で洗うと、脱脂綿になってしまうことになります。
汚れには羽毛や天然繊維の油脂も含まれますので。
尿も、襟元の汚れも、汗も、ただの塩水ではなく、排泄物。ホルモンまで含まれていますから、茶色になったりします。シャツや下着などをキレイにするため、油脂分を落としてしまうわけです。
ですから、洗濯後、カサが減った。ふくらみがなくなった。綿が固まった。絡んでほぐれなくなった。…などが起きるため、一般的には洗えないのです。
2~3回の軽い洗いでしたら固まるまではいきませんが、さすがに5〜6回程度洗うと、固まったり、高級羽毛が安物羽毛になってしまいますので、要注意。
では、クリー二ング屋さんはどうしているのでしょうか?
昔からあるクリーニング店や布団屋などでは、天然の油脂分を落とさない布団専用の洗剤を使います。最近の短時間仕上げのクリーニング店では、その洗剤を使っているかどうかわからないので、ご自分でチェックしてください。
6.洗わなくても大丈夫な対策、ありませんか?
はじめにお伝えしておきますが、病院の先生に、洗える敷布団をすすめられた場合は、そちらを優先してください。それ以外の場合の対策です。
6-1【敷布団マットレスにはシーツやカバーをする】
毎日使う敷布団マットレスですので、清潔にしたいものです。
洋服は同じものを毎日着ないのに、お布団は毎日同じもの。しかも敷布団マットレスは一年中同じ品です。
ですから、汚れや、汗、においなどが直接本体につかないように、カバーやシーツをして、こちらをジャブジャブお洗濯してください。
6-2【敷パットを使い、汗、臭い、ホコリの対策を】
敷布団とほぼ同じサイズで四隅にゴムが付いていて、敷布団マットレスにパットを掛けて使う「敷パット」を使用すると、もっとよいと思います。
綿100%の生地や、汗をしっかり吸い取るタオル生地、洗うたびにやわらかくなっていくガーゼ生地、夏はヒンヤリ感のあるクール素材パット、汗を吸うとヒヤッと感が増す麻敷パット、冬にはあったか素材の敷パット、櫻道ふとん店で大人気「温泉敷パット」、電気毛布いらずの「温泉かんたんシーツ」など、多種類出ています。
これらを敷布団マットレスにカバーを掛けた状態の上に敷いてあげると、お洗濯がとっても楽ちんです。
この敷パットだけをジャブジャブ洗えばよいのです。敷パットなら軽くて薄いので、家庭の洗濯機に楽々入り、脱水後も簡単に持ち上げられ、干せばすぐ乾きます。
また、敷布団マットレス本体も長持ちし、敷パットを変えるだけで四季の対応ができ、プチセレブ。爽やかでとても気持ちいいですよ。
6-3【ダニ対策】
ダニは空気中に浮いていますので、病院の無菌室以外はゼロにはできません。
天然繊維系の敷布団よりも、ポリエステル、ウレタン、樹脂などはダニのえさがないので、入り込みにくいです。ただし、ダニは空気中に浮いているので、ホコリとともに降ってきます。
こちらのダニの多くは、チリダニ、コナダニ、ホコリダニで、直接人を刺すことはありません。
とはいえ、アレルギーのある人は、ある一定の数量以下にするのが対策になります。ダニ対策の敷布団を購入しても、お部屋の中の空気から降ってきますので、お手入れが必要なのです。
天然繊維の場合、繊維自体がエサになるので、こまめにお手入れを。
一番よいのは、敷布団マットレスに掃除機をかけることです。敷布団を洗うのはとても大変なので、掃除機で大丈夫なら、洗わない方法をとった方がいいと思います。詳しくは、ダニ対策のページをご覧ください。
7.家庭で洗わなくても大丈夫な敷布団とは?
櫻道ふとん店がおすすめするのは、「腰いい寝」と「快眠の王」です。
お手入れは、掃除機をかけるだけ。敷布団の中身はウレタンなので、ダニのエサがありません。
また、中素材に使用されている特許「温泉綿」には天然石トルマリンが配合されています。このトルマリンは、ホウ酸結晶を含みます。ホウ酸は、目薬に使われている程で、人体には無害ですが、昆虫(ダニ・ゴキブリ)は繁殖できません。忌避、嫌避効果があり、逃げてしまいます。
ただ、前述の通り、空気中のホコリとともに降ってくるダニは掃除機で排除するしかありません。カバーやシーツの洗濯の時に、敷布団に掃除機をかけるだけで、洗う必要はありません。
8.敷布団は洗濯すべき?汗、ダニ、ホコリ、ペットが気になる?
そもそも敷布団は洗濯すべきでしょうか?
アレルギーの方は、1年に1回はクリーニング、丸洗いをおすすめします。
アレルギーなどがない方であれば、3年に1度程度の布団丸洗いか、クリーニングをおすすめします。
目的は、毎日使う敷布団なので、汗、ホコリ、ダニ、を落とすこと。なるべく洗わなくてよい対策(敷布団にカバーやシーツを掛け、その上に敷パット)をきっちりしていて、「腰いい寝」「快眠の王」のようにダニが入りにくい品であれば、5年に1度程度のクリーニングまたは丸洗いで大丈夫です。
天然繊維の敷布団を使用されている方であれば、畳やフローリング等の床から少しはダニが入ってきそうで心配ですね。。また、ペットと一緒に寝ている方は、アレルギーの方と同じように、最低1年に1回、場合によっては季節ごと洗っていただくのもよいかもしれません。
「お布団丸洗いシステム」ができる前は、布団のお手入れといえば、打ち直し(再生加工)しかありませんでした。布団専用の洗剤や、洗う機械が発達していなかったので、洗うと綿や羽毛が脱脂綿状態になったり、綿が寄ってしまったり。とにかく布団は洗うものではないというのが常識でした。
家の進化もあります。昔の窓はサッシではなく、木枠のガラスで気密性が低く、床にも少し隙間が。また、畳でダニと共存していました。それが、高気密住宅になり、とてもあたたかく、エアコン完備で夏涼しい。快適にはなったのですが、花粉症をはじめとするアレルギーの方が増え、昔よりもきれいになったにもかかわらず、ダニや、カビが気になるようになりました。
布団も、機械の進歩と洗剤の進化で、洗っても痛まないようになりました。このような環境の変化が昔の常識を変え、毎日使うお布団だから、清潔に使おう、清潔にできるとなり、私達プロも洗いやクリーニングをおすすめするようになりました。
櫻道ふとん店の敷布団には洗濯方法はあるの?
「洗える」より「質の高い眠りが取れる敷布団」!
「洗える敷布団」と表示があっても、ほとんどの場合、家庭の洗濯機では洗えません。
コインランドリーに持っていくしかありません。
また、市販の樹脂布団のような硬い芯のある敷布団は、お風呂場で洗うしかありませんが、そんなこと実際には大変すぎてできません。
また、洗える布団はポリエステル100%だから、その他の素材に比べたら、からだにいいとはいえません。
結局、クリーニングに出すのだとしたら、最初から「洗える」ことより「ちゃんと眠れる」ことを重視して布団を選ぶ方がよいですよね。
まとめると、「洗える布団」を探すよりも、「しっかりと質の高い眠りが取れる敷布団」にして、汚れたらクリーニングに出すというのがマイスターの答えです。