1.手づくりの布団製造メーカー 櫻道ふとん店
こんにちは。布団マイスターの櫻道太郎です。
「一流」といわれる絵画、音楽、映画などに触れたとき、自然と涙が流れてきたり、心なごんだり、怖くなったり、意図せず感情が動いたことはありませんか?
日常でも、誕生日の手づくりの料理や手編みのセーターなど、贈り手の思いがこもった手づくりのプレゼントは、大量生産された品物とは何か違うものを感じます。
だからこそ大事に使います。
本気でつくると魂がこもる!
布団の製造メーカー櫻道ふとん店が、あえて手づくりにこだわる理由は、そこにあります。
「思いは伝わる」と信じているから、櫻道ふとん店では、布団の1枚1枚を職人が手をかけて製造しています。
櫻道ふとん店の布団の製造をおこなう製作工場を兼ねた店舗の裏には、日本一の富士山がそびえています。
毎日富士山の息吹を感じながら布団製造の仕事をしています。
飲む水も井戸から汲みあげた富士山の伏流水です。
櫻道ふとん店の布団職人が手づくりする布団で、お客様が元気になったり、気持ちよく眠れたり、朝起きたときにエネルギーが満ちて、やる気が起きたりるといいな~。
そして、「眠りで人生が豊かに」なってくれる人が増えれば、富士山に恩返しができるのかな、と思っています。
手づくりでおこなう代表的な布団の製造工程を少しだけ紹介します!
2.木綿わた敷布団の製造過程
今回は昔ながらの木綿わた敷布団の製造工程をご紹介します。 敷布団は次の5つの製造工程によってつくられます。
(1)裁断・縫製
(2)綿入れ
(3)クケ
(4)のしつけ
(5)とじ
それぞれの製造工程を詳しく説明していきますね。
2-1【櫻道ふとん店の木綿わた布団の製造工程(1)<裁断・縫製>】
「裁断」とは、反物(生地)から必要な分だけ布を切り出すことです。
昔ながらのシングルサイズの敷布団の場合、4m40cm程を反物(生地)から切り出します。
「縫製」とは、切り出した布を縫う製造工程のことです。
シングルサイズの敷布団の場合、生地のおもて同士を合わせて、ミシンで100cm×210cmに縫い上げます。
この後、縫い目に沿って生地を折って、アイロンがけをします。
このアイロンがけをすることで、仕上がりの見た目もよくなります。
さらに、縫い目から綿が出てきて、縫い目がちぎれてしまうのを防止することができます。
2-2【櫻道ふとん店の木綿わた布団の製造工程(2)<綿入れ>】
布団の中身の綿は、最初、1枚1枚折りたたまれた状態になっています。
広げると90cm×180cm程の大きさになります。
この綿を、何枚もずらして重ねて折りたたんでいくと、敷布団の中身が完成します。
シングルサイズの敷布団では、この綿を14枚~20枚使います。
枚数はお客様の好みの敷布団の厚さや重さにあわせて、製造過程で調節します。
今回ご紹介している動画では、「軽い敷布団にして欲しい」とお客様からご要望をいただいたので、綿を14枚使って製造し、敷布団を仕上げます。
櫻道ふとん店では、敷布団は「中高式」に仕上げます。
「中高式」とは、敷布団の中央を厚く高くなるように綿を入れる手法です。
「中高式」に仕上げることで、からだのなかで一番重い腰の部分を敷布団で持ちあげて、しっかりと支えるので、寝姿勢をキレイに保つことができます。
この「中高式」の仕上げは、昔ながらの職人の技と言えます。
昔から布団屋の職人さんは、腰が沈み込んでしまうような寝姿勢は、睡眠やからだによくないということが分かっていたのですね。
それでは、実際に綿を入れていく製造工程を説明します。
先ほど、裁断・縫製してアイロンがけをした面をおもてにして、生地をきれいに広げます。
生地を広げた上に、1段目の綿を広げていきます。
生地から飛び出すように綿を広げていくので、上下左右に飛び出す綿のバランスを見ながら広げていきます。
2段目、3段目で、綿が敷布団の中央に重なるよう広げて製造していきます。
このように綿を重ねることで、中高式の敷布団になります。
綿を重ねた次は「角つくり」に入ります。
名前の通り、敷布団の角をつくっていく製造工程です。
4隅の綿を切り離して、生地に合わせて綿を折りながら、敷布団の角をつくっていきます。
このとき、しわが寄らないように綿を伸ばしながら、角の綿を折りたたんでみ、重ね合わせて、角を出します。
上手な布団職人がこの角をつくると、角が反るように上を向きます。
角つくりが終わったら、敷布団にふたをするように綿を被せていきます。
この工程を布団の製造では「被せ綿」と呼んでいます。
「被せ綿」のときにも、中央の綿が重なるように「中高式」にしていきます。
「被せ綿」が終わり、きれいに綿を整えたら、次に綿をひっくり返して生地の中に入れていきます。
ここは文字では表現できないので、ぜひ動画をご覧ください。
綿の角をきれいに生地の中に入れて、布団製造の「綿入れ」工程の完了です。
2-3【櫻道ふとん店の木綿わた布団の製造工程(3)<クケ>】
「クケ」とは、綿入れが終わった布団に生地の空いている部分を手で縫う布団の製造工程です。
わたの布団は、綿を入れるため、ミシンでは生地を縫いきれません。
なので、ミシンで縫いきれないところを手縫いで、どこから綿を入れたのかわからないようにします。
<手縫いに使う針は布団職人専用の「もめんえりしめ」という針を使います。
和裁用の針の1.5~2倍程度の長さです。
手縫いの最初と最後には”たま”をつくりますが、このたまを敷布団の内側に入れて、外から見えないようにするのは、職人の技です。
2-4【櫻道ふとん店の木綿わた布団の製造工程(4)<のしつけ>】
「のしつけ」とは、生地の中の綿のしわをとり、綿と生地を馴染ませる布団の製造工程です。
「のしつけ」をすることにより、さらに寝心地のよい敷布団に仕上がります。
この製造工程は「仕立ての王様」と呼ばれるくらい布団の製造では重要な工程で、敷布団の上下左右のバランス、綿のしわ取り、敷布団のハリを調整します。
「のしつけ」のよし悪しで寝心地がとても変わってしまう大事な製造工程です。
2-5【櫻道ふとん店の木綿わた布団の製造工程(5)<とじ>】
「とじ」とは、「のしつけ」で定まった綿の状態を、生地とともに糸で留める作業のことを言います。
この「とじ」作業によって、綿と生地が長持ちします。
製造工程の最後の仕上げになるため、見た目もきれいにして、糸を「結びあげ」という作法で、縁起もよくなるようにとじます。
最後に、4隅の角をとじて、わたの敷布団が仕上がります。
「角とじ」は”ふさ”というもので飾りをつけながら角まできっちり仕上げます。
このように一流の布団職人の手で、すべての製造工程を経て、角まできっちり仕上がった敷布団は、最高の敷布団になります。
3.羽毛布団(掛布団)の製造過程
軽くてとってもあたたかい羽毛掛布団のつくり方を少しだけ教えちゃいます! 羽毛掛布団は次の4つの製造工程によってつくられます。
(1)裁断
(2)縫製
(3)羽毛入充填
(4)とじ
羽毛布団はすべて工場で機械生産されると思っていませんか?
櫻道ふとん店では自社工場で職人がつくっています。羽毛の厳選にもこだわっています。
羽毛布団の各製造工程を詳しく説明していきますね。
3-1【櫻道ふとん店の羽毛掛布団の製造工程(1)<裁断>】
羽毛布団の最初の製造工程は、側(がわ)生地の「断裁」です。
160cm幅の生地を使って、シングルサイズの羽毛布団の場合は、長さを4m50cmに裁断します。
裁断した生地を作業台の上に何枚も重ねて敷いて「目打ち」をします。
「目打ち」は、職人が印をつける道具を使って、印をつけていきます。
これにより、それぞれの生地に早く正確に同じ場所に印をつけることができます。
そして、特殊な長いチャコペン(布専用の筆記具)を使って、「目打ち」によってつけた印を元に、2人がかりで線を引いていきます。
3-2【櫻道ふとん店の羽毛掛布団の製造工程(2)<縫製>】
縫製は「目打ち」で目印となる線をつけた部分をミシンで縫っていく製造工程です。
このとき、上下の生地同士を合わせるだけではなく、生地と生地の間に、しきりとなるメッシュ状の布を縫い付けます。
この布を”マチ”と呼んでいます。
マチにより、羽毛布団の1マス1マスを区切った立体的な縫いになるので、保温力を高めてくれます。この縫製方法を「立体キルト」と言います。
3-3【櫻道ふとん店の羽毛掛布団の製造工程(3)<羽毛充填>】
「縫製」が完了した生地の重量を計ります。
次に”充填機”を使って、羽毛布団の中身となる羽毛を入れていきます。
原料の羽毛を1マス分ずつ計って、生地の中に充填していきますが、。羽毛はとても軽く、たったのひとつかみでも1g変わってしまうので、慎重に計りとります。
羽毛をすべてのマスに入れ終わったら、重量を計ります。
羽毛を充填する前に計った重量と差し引きして、目標の量の羽毛が生地の中に入ったことを確認します。
3-4【櫻道ふとん店の羽毛掛布団の製造工程(4)<仕上げ縫い>】
最後の製造工程は、羽毛を充填した口の部分をミシンで縫って、羽毛掛布団の製造が完了します。
羽毛布団は、針の穴でも中身が出てきてしまいますので、普通に縫っただけでは中身の羽毛が出てきてしまいます。
羽毛が出てこないように綿100%の糸を使って縫うことで解決します。
ミシンで縫っているときには、糸がミシンで引っ張られ細くなっていますが、縫い終わり、糸がミシンから離れたときに糸への張力がなくなるので、糸は円周方向に膨張します。
これにより、ミシンの針であけた穴は埋まり、羽毛が漏れなくなります。
4.布団の製造メーカーだからこそ、布団の中身にも、側(がわ)生地にも、こだわるのです!
◆櫻道ふとん店の羽毛布団の中身の秘密!
櫻道ふとん店では羽毛掛布団の中に入れる羽毛の量は、シングルサイズで1.5kgを基準としています。
一般的な羽毛布団では、この1.5kgの羽毛の量は多いです。
量販店の売場やインターネット検索で「羽毛布団(シングルサイズ)」を探してみると、ほぼすべての商品の羽毛量が1.1〜1.3kgとなっています。
「ダウンパワーが何百あるから~」
「マザーグースダウンだから~」
等の説明はありますが、あたたかい羽毛布団に大事なのは、
「質の良い羽毛を多く入れること」に尽きるのです。
さらにいえば「マザーグース」といっても、産地も重要になってきます。
たとえば、羽毛の産地で有名な国はハンガリーとポーランドです。
ハンガリーの緯度は47度で北海道と同じくらいです。
ポーランドは51度でロシアと同じくらいです。
ハンガリーで育ったグースと、より北極に近いポーランドで育ったグース。
どちらのグースの方が生き延びるためにより暖かい羽毛を必要としているでしょうか?
答えはポーランドですよね。
もっというと、一般的にはマザーグースダウンの方がダックダウンよりも保温性に優れているという認識があります。
ですが、世界最高峰の羽毛にはダックダウンもあります。
世界一のダックダウンとは、アイスランドに生息するアイダーダックから採れる羽毛です。
アイダーダックの羽毛は北極圏という過酷な環境で生きるために、羽毛同士が引っかかり合い微細な空気の層を作れる特殊な構造をしています。
また、メスは自身の羽毛で巣を作り、卵を孵化させます。
それだけ優れた保温性のあるアイダーダックダウンでつくった羽毛布団は、シングルサイズで約300万円前後で取り扱われています。
ちなみに、櫻道ふとん店もアイダーダックダウンでつくった羽毛布団(シングルサイズ)を掛布団+肌掛布団の2枚セットで298万円でお取り扱いしています。もちろん、店内で職人が手づくりします。
◆軽くて暖かい羽毛布団の追求 ~側生地の軽量化~
「1.5kg入れたら羽毛布団自体が重くなってしまうじゃないか?私は軽い羽毛布団がいいんだ」
とおっしゃられるお客様もいらっしゃいます。
櫻道ふとん店では「軽くて暖かい羽毛布団」を目指して、生地に工夫をしています。
では「御殿場スペシャル羽毛ゴールド」を例に説明しますね。
従来通りに、綿100%の生地で羽毛布団をつくっていたのでは、どうしても生地が重くなってしまい、そこに羽毛1.5kgを入れたら、重い羽毛布団が仕上がってしまいます。
そこで、櫻桜道ふとん店では、ポリエステル85%・ 綿15%のシルクタッチのサテン織りの生地を使うことで、綿100%の生地より圧倒的に軽い羽毛布団に仕上げました。
さらに、サテン織りを採用することで、やわらかく、とてもしなやかな生地質となっています。
また、ポリエステル85%の生地なので、綿100%の生地よりも耐久性に優れています。
綿100%の生地は、織ったあとに高圧ローラーでつぶして糸を平らにし、中身の羽毛が出ないようにするのですが、時間がたつと糸の形状が戻ってしまい、中身が出やすくなってしまいます。
「御殿場スペシャル羽毛ゴールド」は、生地にはポリエステルをメインに使用しており、高圧ローラーで糸の形状が変化した後は元には戻らないので、羽毛が生地から出にくいままです。
「御殿場スペシャル羽毛ゴールド」の中身の羽毛は、質の良い羽毛を他社さんより多い1.5kg入れて、側生地を軽量化することで、気温が−10度にもなる御殿場の地でも暖かいと感じていただける、軽い羽毛布団につくり上げることができました。
「羽毛布団を買ったけど、なんだか寒くてものたりない...」
「そろそろ既製品ではなく、専門店のいい羽毛布団が欲しいなぁ」
という方はぜひ一度、櫻道ふとん店にご相談ください!